冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
あ!
メイは、見た。
ドアから出てきた人間を映した瞬間、昨夜自分の胸が覚えた二回の鼓動を聞いた。
彼は――バスルームから出てきた。
バスローブ姿で、タオルをかぶったまま。
何気なく歩いていたその足が、ぴたりと途中で止まる。
グレイの目が、ベッドの方に注がれていた。
怪訝そうな目。
その表情が、直後、一気に眉を寄せた。
「何やってやがる!」
カイトは、かっと目をむいてタオルを投げ捨てるやいなや、物凄い勢いで駆けてくる。
メイは、びくっと身体を硬直させた。
また、何か気に障ることをしたのだ。
そう思ったのである。
「てめ…何してやがる!」
しかし、次の怒鳴りは自分にではなかった。
慌てて顔を上げると、携帯電話を持っていた男が、カイトに胸ぐらを引きずり降ろされるように引っ張られていた。
カイトより背が高い男の頭を、強い力で自分と同じ高さまで落としているのだ。
「不審な人物がいたので、警察に通報しようとしていたところですよ」
しかし、相手はまったく怯まない。
まるでそれが義務であると言うかのように、真実を曲げもせず答える。
「ヨケーな真似すんじゃねぇ!」
ばっと胸ぐらを突き飛ばしながら、またカイトは怒鳴って。
「ここは、オレの部屋だ。オレの部屋に誰がいようと、おめーがケイサツに通報する必要はねぇ!」
指を突きつけるようにして、マシンガンのごとくわめき立てた。
あ!
メイは、見た。
ドアから出てきた人間を映した瞬間、昨夜自分の胸が覚えた二回の鼓動を聞いた。
彼は――バスルームから出てきた。
バスローブ姿で、タオルをかぶったまま。
何気なく歩いていたその足が、ぴたりと途中で止まる。
グレイの目が、ベッドの方に注がれていた。
怪訝そうな目。
その表情が、直後、一気に眉を寄せた。
「何やってやがる!」
カイトは、かっと目をむいてタオルを投げ捨てるやいなや、物凄い勢いで駆けてくる。
メイは、びくっと身体を硬直させた。
また、何か気に障ることをしたのだ。
そう思ったのである。
「てめ…何してやがる!」
しかし、次の怒鳴りは自分にではなかった。
慌てて顔を上げると、携帯電話を持っていた男が、カイトに胸ぐらを引きずり降ろされるように引っ張られていた。
カイトより背が高い男の頭を、強い力で自分と同じ高さまで落としているのだ。
「不審な人物がいたので、警察に通報しようとしていたところですよ」
しかし、相手はまったく怯まない。
まるでそれが義務であると言うかのように、真実を曲げもせず答える。
「ヨケーな真似すんじゃねぇ!」
ばっと胸ぐらを突き飛ばしながら、またカイトは怒鳴って。
「ここは、オレの部屋だ。オレの部屋に誰がいようと、おめーがケイサツに通報する必要はねぇ!」
指を突きつけるようにして、マシンガンのごとくわめき立てた。