冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「んなこた、言ってねぇ!」
そうして、ついに―― 怒鳴ってしまった。
この口の悪い病気の一つだ。
言葉が見つからずにイライラしてくると、すぐこうなってしまう。
「そうじゃ…ねぇ」
ぐっと、その勢いをこらえて横を向く。
町を育成するシミュレーションゲームを作ったことがある。
出来るだけリアリティのあるようにするために、たくさんのパラメータを導入した。
いまをそのゲームで例えるなら、『貧富の差がありすぎます』と言ったところか。
心豊かな彼女に比べて、自分の貧しい内側がイヤになる。
女一人を住まわせるには、窮屈で汚く思えるのだ。
こんな家に遊びに来いなんて、言えるはずがない。こんな家に住めだなんて。
「明日は…仕事なんかしなくていい」
それが精一杯のフォローだった。
せいぜい、閉めっぱなしだったカーテンを開けて、太陽の光を入れる程度のフォローだったけれども、その光を、彼女はちゃんと拾ってくれた。
「ありがとうございます…でも、ご飯の支度はさせてくださいね。私もおなかがすきますから」
笑う。
くすっと。
しかし、すぐにその表情が、あっ、というものに変わった。
「明日…お仕事はあるんでしょうか?」
あまり意識をしていなかったが、そういえば明日は土曜日だ。
いまひとつ、一週間のサイクルがつかめないでいる。
彼女が来て2回目の週末なのだ。
いろいろ考えた。
と言っても、二択にすぎない。
会社に行くか行かないか、だ。
「土日は…休みだ」
カイトは、決着をつけた。
仕事に行くと―― 彼女がたくさんの労働をするような予感がして、こげ茶の髪の毛が引っ張られたのである。
「そう…ですか」
でも、ちょっとだけメイが嬉しそうな表情をしたように見えた。
気のせいかもしれない。
「んなこた、言ってねぇ!」
そうして、ついに―― 怒鳴ってしまった。
この口の悪い病気の一つだ。
言葉が見つからずにイライラしてくると、すぐこうなってしまう。
「そうじゃ…ねぇ」
ぐっと、その勢いをこらえて横を向く。
町を育成するシミュレーションゲームを作ったことがある。
出来るだけリアリティのあるようにするために、たくさんのパラメータを導入した。
いまをそのゲームで例えるなら、『貧富の差がありすぎます』と言ったところか。
心豊かな彼女に比べて、自分の貧しい内側がイヤになる。
女一人を住まわせるには、窮屈で汚く思えるのだ。
こんな家に遊びに来いなんて、言えるはずがない。こんな家に住めだなんて。
「明日は…仕事なんかしなくていい」
それが精一杯のフォローだった。
せいぜい、閉めっぱなしだったカーテンを開けて、太陽の光を入れる程度のフォローだったけれども、その光を、彼女はちゃんと拾ってくれた。
「ありがとうございます…でも、ご飯の支度はさせてくださいね。私もおなかがすきますから」
笑う。
くすっと。
しかし、すぐにその表情が、あっ、というものに変わった。
「明日…お仕事はあるんでしょうか?」
あまり意識をしていなかったが、そういえば明日は土曜日だ。
いまひとつ、一週間のサイクルがつかめないでいる。
彼女が来て2回目の週末なのだ。
いろいろ考えた。
と言っても、二択にすぎない。
会社に行くか行かないか、だ。
「土日は…休みだ」
カイトは、決着をつけた。
仕事に行くと―― 彼女がたくさんの労働をするような予感がして、こげ茶の髪の毛が引っ張られたのである。
「そう…ですか」
でも、ちょっとだけメイが嬉しそうな表情をしたように見えた。
気のせいかもしれない。