冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
これでも大学は卒業したのだ。
なのに、経済関係の本をちょっと読んだだけで眠ってしまうなんて。
ああ…。
誰も見ていないと言うのに恥ずかしくて、彼女は頬を赤くした。
そうして、またキチンと枕元に本を積み直す。
結局、これは読破せずに返すことになってしまいそうだ。
もしも、シュウに感想なんかを求められたらどうしよう、と少し青ざめたけれども、彼がそんなことに興味を示すとも思えなかった。
もそもそと、毛布の中で丸くなったり伸びたりする。
毛布から足がこぼれた時、すごく冷たくてぱっと引っ込めた。
今日も、寒いようだ。
どうしよう。
起きるのは簡単だ。
けれども、起きてしまってもすることがないし、さっきの本が、彼女には合わないことも一目瞭然だ。
こうなると、何か考えたりすることでしか時間を使うことが出来ない。
クスッ。
一番最初に思い浮かんだのは、一昨日の夜のこと。
よぎった瞬間に、笑ってしまった。
カイトのトレーナーだ。
お茶の時間に部屋に伺った時、メイは違和感を覚えた。
カイトが、上はトレーナー、下は背広のズボンという出で立ちだったのだ。
もしかして、着替え中にお邪魔したんじゃ。
そう思ってしまうような姿である。
とりあえずお茶を飲み始めたら、また違和感がある。
今度は何かと思ったら―― カイトのトレーナーが、後ろ前だったのだ。
なのに、彼は小難しい顔をしたままコーヒーを飲んでいる。
言おうかどうか迷ったのだ。
しかし、そんなことを指摘されたら、すごく恥ずかしいのではないかと思った。
もう、多分外に出かけたりはしないだろうから、他の人に見られることはない。
結局、メイは言わずにいたのだ。
あれは…自分で気づいたのかな。
翌日、そのトレーナーは洗濯かごの中だった。
全然汚れている風には見えなかったけれども、せっかくなので一緒に洗う。
洗う時も、干す時も、取り込む時も。
何となくそのトレーナーを見ると、顔がゆるんでしまいそうだった。
これでも大学は卒業したのだ。
なのに、経済関係の本をちょっと読んだだけで眠ってしまうなんて。
ああ…。
誰も見ていないと言うのに恥ずかしくて、彼女は頬を赤くした。
そうして、またキチンと枕元に本を積み直す。
結局、これは読破せずに返すことになってしまいそうだ。
もしも、シュウに感想なんかを求められたらどうしよう、と少し青ざめたけれども、彼がそんなことに興味を示すとも思えなかった。
もそもそと、毛布の中で丸くなったり伸びたりする。
毛布から足がこぼれた時、すごく冷たくてぱっと引っ込めた。
今日も、寒いようだ。
どうしよう。
起きるのは簡単だ。
けれども、起きてしまってもすることがないし、さっきの本が、彼女には合わないことも一目瞭然だ。
こうなると、何か考えたりすることでしか時間を使うことが出来ない。
クスッ。
一番最初に思い浮かんだのは、一昨日の夜のこと。
よぎった瞬間に、笑ってしまった。
カイトのトレーナーだ。
お茶の時間に部屋に伺った時、メイは違和感を覚えた。
カイトが、上はトレーナー、下は背広のズボンという出で立ちだったのだ。
もしかして、着替え中にお邪魔したんじゃ。
そう思ってしまうような姿である。
とりあえずお茶を飲み始めたら、また違和感がある。
今度は何かと思ったら―― カイトのトレーナーが、後ろ前だったのだ。
なのに、彼は小難しい顔をしたままコーヒーを飲んでいる。
言おうかどうか迷ったのだ。
しかし、そんなことを指摘されたら、すごく恥ずかしいのではないかと思った。
もう、多分外に出かけたりはしないだろうから、他の人に見られることはない。
結局、メイは言わずにいたのだ。
あれは…自分で気づいたのかな。
翌日、そのトレーナーは洗濯かごの中だった。
全然汚れている風には見えなかったけれども、せっかくなので一緒に洗う。
洗う時も、干す時も、取り込む時も。
何となくそのトレーナーを見ると、顔がゆるんでしまいそうだった。