冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 余ったご飯を冷凍していたので、それを引っぱり出してレンジにかける。

 その間に、タマネギを刻んで。
 卵と一緒に簡単なチャーハンにしようと思ったのだ。

 お昼は、どうしよう。

 朝食の準備の時から、もうお昼ご飯の心配である。

 いや、これは自分の食事の心配じゃない。カイトの分だ。

 一体、何時くらいに起き出すのだろう。

 お昼前後だろうか、それとももっと遅く?

 レンジから解凍されたご飯を取り出しながら、いろんな結果を引き出してみるが、どれもこれも「多分」の領域からは出てこなかった。

 フライパンを取る。

 コンロに乗せて火を入れる。油を落として。

 ふっと、頬に何か当たった。

 いや、何も当たるハズなどない。

 しかし、たとえて言うならそんな感じだった。

「…?」

 メイは、顔をそっちに向けた。

 ぱっと目を見開いた。

 カイトが立っていたのだ。

 仕事をしていないかを、確認しているような検査官の目で。

 ドキーンと、心臓がエビのように跳ねる。

 慌てて、いまの自分にやましいところがないかを確認す心理は、警察官にいきなり出会った時と似ているか。

「あ、朝ご飯を…」

 フライパンの油が、ぱちっと言った。

 火をつけているので、どんどん温度を上げているのだ。

 慌てて、ガスを切る。

 見たら、カイトは―― パジャマのままだった。

 先日、彼女が洗ったばかりのそれだ。

 上着も着ていないのは、起きてそのままここに来たからだろうか。

 よほど、メイは信用されていないらしい。
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