冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 カチコチに凍ったご飯→解凍すると乾燥しきったパキパキご飯。

 これが、カイトの意識の流れだ。

「ほら…お肉だって、解凍してもちゃんとお肉じゃないですか」

 分かりやすいたとえで言ってくれる。

 確かに理論上はそうかもしれない。

 しかし、どうしても解凍したご飯を、そのまま食べられるという発想が、カイトにはなかったのだ。

「いま、いろんなものが冷凍して売ってありますよ。野菜なんかだと、長期保存が出来て、使いやすくていいんですって」

 人それぞれ得意分野が違うが、メイの場合は料理方面に関しては、知識―― というか、生活の知恵みたいなものがあるようだ。

 未知の分野である。

 冷凍というものが、偉大なのだと分かったくらいだが、カイト自身の仕事や生活に、恩恵を与えることはないだろう。

 ゲームソフトは冷凍して解凍しても、何にも意味はない。

 データ圧縮や解凍が、似たような意味かもしれないが。

 いつまでも、つついていてもしょうがないので、チャーハンをすくって口に運んだ。

 ちゃんとしたご飯だった。

 シンプルな塩胡椒の味付けの、シンプルな具材のチャーハン。

「うめぇ…」

 やっぱり、メイの指には魔法があると思った。
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