冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 いま、かなり怪しいことを考えていたカイトは、突然の来訪者にどきっとする。

 人の気持ちを読んでいるのではないかと思われる、妖怪夫婦の片割れだ。

 この気持ちを読まれでもしたら、とんでもないことになる。

「ケーキを持って遊びに来たのよ」

 にっこり。

 白い紙箱を掲げて、ハルコは微笑む。

 ケーキ。

 そう言えば、カイトが大喜びするとでも思ったのだろうか。

 これまでの付き合いを考えたら、彼が甘いモノが苦手だということくらいご存知だろうが。

「あら…あなたにじゃないわよ」

 そのイヤそうな表情が伝わったのだろう。

 ハルコは苦笑しながら、紙箱をテーブルの上に置いた。

「このケーキは、私と…私のおなかの中の子…」

 ワンピース姿だが、まだおなかは全然目立っていない。

 妊娠していると言われても、全然カイトには認識も実感もできなかった。

「それと…」

 ハルコは、ついおなかを見てしまっているカイトに気づいたのか、また微笑んで。

 むっとして、カイトは顎を横に向けた。

 だから、何を続けようとしているのか、すぐには反応出来なかった。

「それと…メ…」

 言いかけたハルコの声の上に、ノックが重なった。

「メイです、お茶を持ってきました…」


 ここで、お茶をする気かー!!!!!
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