冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 パーティなんてチャラチャラしたものは好きではないし、ましてやあの悪魔夫婦のところである。

 絶対、ペースを乱されるだろう。

 しかし、メイが一人で行けるとも思わなかったし、行かせたくもなかった。

 彼女一人だけを、パーティに参加させたとしよう。

 カイトの知らないところで、メイは笑ったり幸せそうな顔をするのだ。
 それどころか、他に誰が来ているかも分からないのである。

 家庭内クリスマスパーティだからとは言え、この顔の広そうな夫婦が催すのだ。

 そんなところに、メイ一人送り込んで―― もし。


 もし、じゃねぇ!


 自分の腐れた思考を、一瞬で切り捨てようとした。
 しかし、それはしっかり彼の心に寄生してしまう。

「じゃあ、一緒にこれから買いに行きましょうか?」

 汗をダラダラ流しているカイトをよそに、ハルコが話を進行させようとする。

 止めるなら、今しかない。

 誰がパーティなんざに行くか、と怒鳴るのだ。

 しかし。

 言ったらおしまいだった。

 メイは、絶対にお金を使わない。

 バッ。

 カイトは、その部屋から逃げ出した。

 拒否をするのは、今でなくてもいいと思ったのだ。

 その洋服とやらを買ってきた後で、いくらでも断ることが出来る、と考えたのである。

 そうすれば、メイに服を買ってやるというハードルは、クリア出来そうだったのだ。


 たくさんのコーティングで自分を騙しながら、カイトは飛び出して行った。
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