冬うらら~猫と起爆スイッチ~
◎
「あいつがパーティに…」
信じられん、とソウマは顔を押さえた。
笑おうとするのを、止められないかのようだ。
「そうなのよ…私も、本当にあんなにうまく行くとは思ってなくて」
あの着飾る服を買うお金を、バンと出した時、ハルコは本当は分かっていた。
彼はパーティに行きたいわけではないのだが、メイを着飾らせることには賛成だったのだ。
要するに。
きれいに着飾っている彼女を見たいのだ。
ああもう。
前日からか、もしくは当日の朝一番に、メイをうちへの手伝いと称して拉致しようかと考え始める。
そうすれば、彼女に会えないことでカイトはきっと激しく苛立つだろう。
絶対に、パーティをすっぽかしたりもしないだろう。
すごい顔をしてやってくるに違いなかった。
そんなカイトの前に、磨き上げたメイを連れていくのだ―― 想像するだけで、ゾクゾクした。
楽しすぎる計画である。
それを夫に話すと、彼はついに声を出して笑い始めた。
「まったく…味方なんだか敵なんだか分からないな、おまえは…まあ、カイトにとっちゃ、間違いなく第一の敵だろうが」
笑いの影から、そんな失礼なことを言う。
「あら、一番の敵はあなただと思うわ…気をつけないと、けっ飛ばされるだけじゃ済まなくなるわよ」
ふふっと目を細めて、ソウマを見た。
すると、彼は眉を寄せて苦笑する。
「まったくだな、あいつの足グセの悪さときたら…」
自分の足を見るのは、けっ飛ばされた記憶でもよみがえったのだろうか。
ついハルコも、彼の足を見てしまった。
「もうちょっと手の方もな…」
ソウマがぼそっと呟く。
カイトが、恋をしたらあんなに奥手になるとは思ってもみなかった。
家の中に引っ張り込むところまではよかったのだが、あまりに詰めが甘い。
「本当にねぇ…もうちょっと手がねぇ」
ハルコは―― じっと、手を見た。
「あいつがパーティに…」
信じられん、とソウマは顔を押さえた。
笑おうとするのを、止められないかのようだ。
「そうなのよ…私も、本当にあんなにうまく行くとは思ってなくて」
あの着飾る服を買うお金を、バンと出した時、ハルコは本当は分かっていた。
彼はパーティに行きたいわけではないのだが、メイを着飾らせることには賛成だったのだ。
要するに。
きれいに着飾っている彼女を見たいのだ。
ああもう。
前日からか、もしくは当日の朝一番に、メイをうちへの手伝いと称して拉致しようかと考え始める。
そうすれば、彼女に会えないことでカイトはきっと激しく苛立つだろう。
絶対に、パーティをすっぽかしたりもしないだろう。
すごい顔をしてやってくるに違いなかった。
そんなカイトの前に、磨き上げたメイを連れていくのだ―― 想像するだけで、ゾクゾクした。
楽しすぎる計画である。
それを夫に話すと、彼はついに声を出して笑い始めた。
「まったく…味方なんだか敵なんだか分からないな、おまえは…まあ、カイトにとっちゃ、間違いなく第一の敵だろうが」
笑いの影から、そんな失礼なことを言う。
「あら、一番の敵はあなただと思うわ…気をつけないと、けっ飛ばされるだけじゃ済まなくなるわよ」
ふふっと目を細めて、ソウマを見た。
すると、彼は眉を寄せて苦笑する。
「まったくだな、あいつの足グセの悪さときたら…」
自分の足を見るのは、けっ飛ばされた記憶でもよみがえったのだろうか。
ついハルコも、彼の足を見てしまった。
「もうちょっと手の方もな…」
ソウマがぼそっと呟く。
カイトが、恋をしたらあんなに奥手になるとは思ってもみなかった。
家の中に引っ張り込むところまではよかったのだが、あまりに詰めが甘い。
「本当にねぇ…もうちょっと手がねぇ」
ハルコは―― じっと、手を見た。