冬うらら~猫と起爆スイッチ~
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あっ。
メイは無意識に緊張した。
階段を下りてくる足音がしたのだ。
玄関から出てすぐのところで、ぼんやりと日向ぼっこしていた彼女は、慌てて中に入った。
「おは…」
じゃない。
もう昼過ぎだ。おはようございます、じゃない。
けれども、同じ家で生活していながら「こんにちは」という言葉は変に思えて、うっかり声をかけそびれてしまった。
カイトは、玄関のところにいるメイに気づかなかったようで、そのままダイニングの方へと向かう。
階段を下りてきたら、真正面が玄関だというのに、彼の視線や意識はすっかりダイニングの方に行っているようだった。
おなかがすいたのだろうか。
彼女は、そう思った。
起きてくるかなと待ってはいたけれども、気配がなかったので昼ご飯はもう済ませていた。
ちゃんと、彼の分のご飯は炊いているので、起きてきた状況によっては、おかずをこしらえようとは思っていたのだ。
ということは、こんなところでのんびりしている暇はなかった。
メイは、ダイニングへ急ごうとした。
が。
ダイニングに入ろうとした途端、ドシン、と何かとぶつかった。
すごい勢いで飛び出してきたものがあったのだ。
「きゃあっ…!」
不意を打たれて、後ろに弾き飛ばされそうになる。
「…!」
しかし、彼女は転がらなかった。
何かにしっかり止められたのだ。
止められたら止められたで衝撃が来る。
メイは、それが落ち着くまで動くことは出来なかった。
目もぎゅうっと閉ざした状態で。
そっ。
おそるおそる目を開ける。
はぁっ、と乱れた吐息がすぐそばにあった。
あっ。
メイは無意識に緊張した。
階段を下りてくる足音がしたのだ。
玄関から出てすぐのところで、ぼんやりと日向ぼっこしていた彼女は、慌てて中に入った。
「おは…」
じゃない。
もう昼過ぎだ。おはようございます、じゃない。
けれども、同じ家で生活していながら「こんにちは」という言葉は変に思えて、うっかり声をかけそびれてしまった。
カイトは、玄関のところにいるメイに気づかなかったようで、そのままダイニングの方へと向かう。
階段を下りてきたら、真正面が玄関だというのに、彼の視線や意識はすっかりダイニングの方に行っているようだった。
おなかがすいたのだろうか。
彼女は、そう思った。
起きてくるかなと待ってはいたけれども、気配がなかったので昼ご飯はもう済ませていた。
ちゃんと、彼の分のご飯は炊いているので、起きてきた状況によっては、おかずをこしらえようとは思っていたのだ。
ということは、こんなところでのんびりしている暇はなかった。
メイは、ダイニングへ急ごうとした。
が。
ダイニングに入ろうとした途端、ドシン、と何かとぶつかった。
すごい勢いで飛び出してきたものがあったのだ。
「きゃあっ…!」
不意を打たれて、後ろに弾き飛ばされそうになる。
「…!」
しかし、彼女は転がらなかった。
何かにしっかり止められたのだ。
止められたら止められたで衝撃が来る。
メイは、それが落ち着くまで動くことは出来なかった。
目もぎゅうっと閉ざした状態で。
そっ。
おそるおそる目を開ける。
はぁっ、と乱れた吐息がすぐそばにあった。