冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
このままでは。
彼女は行ってしまいそうだった。
疲れているのね、とか自己判断して、ずっとカイトを眠らせ続けそうだったのだ。
別に眠いワケではない。
それよりも、彼女が―― 行ってしまうのがイヤだった。
ぱっ、と。
カイトは目を開けた。
茶色の目は、本当にすぐ近くだった。
その事実に驚く。
相手も驚いたようだ。ぱっと身体が逃げた。
どのくらい深く眠っているのか、のぞき込んでいたのだろう。
カイトは、ぎしっとベッドをきしませて身体を起こした。
「おは…じゃない、えっと…夕ご飯、どうしますか?」
慌てた声。
カイトがいつも、あまりいい態度や表情で接しないせいで、彼女はそんな風に焦った声を出すことが多い。
どもったり言葉を探したり、とにかくこの場を取り繕おうとするような声で、彼にしゃべるのである。
いちいち顔色を伺う。反応や行動を確認する。
自分の存在自体が、メイを威圧している気がしてしょうがなかった。
しかし、変えられないのだ。
優しく接したいと思っても、彼の心に反して態度やプライドが、いきなり道を狭くする。
いつになったら。
メイと、普通に接することが出来るようになるのだろうか。
彼女が怖がらなくなり、自分ももっと穏やかに接することが―― 到底、想像できなかった。
カイトは、ため息を飲み込んでベッドを降りた。
「食う…」
昼間の、あのヨロヨロはもう取れている。
分かっていたことを、自分の心が認めたがっていなかっただけなのだ。
最初から決まっていることに、男らしくなくグチグチ言っていたに過ぎない。
それよりも。
もっと、この関係を改善したかった。
このままでは。
普通の生活なんて―― 絶対に来ない。
このままでは。
彼女は行ってしまいそうだった。
疲れているのね、とか自己判断して、ずっとカイトを眠らせ続けそうだったのだ。
別に眠いワケではない。
それよりも、彼女が―― 行ってしまうのがイヤだった。
ぱっ、と。
カイトは目を開けた。
茶色の目は、本当にすぐ近くだった。
その事実に驚く。
相手も驚いたようだ。ぱっと身体が逃げた。
どのくらい深く眠っているのか、のぞき込んでいたのだろう。
カイトは、ぎしっとベッドをきしませて身体を起こした。
「おは…じゃない、えっと…夕ご飯、どうしますか?」
慌てた声。
カイトがいつも、あまりいい態度や表情で接しないせいで、彼女はそんな風に焦った声を出すことが多い。
どもったり言葉を探したり、とにかくこの場を取り繕おうとするような声で、彼にしゃべるのである。
いちいち顔色を伺う。反応や行動を確認する。
自分の存在自体が、メイを威圧している気がしてしょうがなかった。
しかし、変えられないのだ。
優しく接したいと思っても、彼の心に反して態度やプライドが、いきなり道を狭くする。
いつになったら。
メイと、普通に接することが出来るようになるのだろうか。
彼女が怖がらなくなり、自分ももっと穏やかに接することが―― 到底、想像できなかった。
カイトは、ため息を飲み込んでベッドを降りた。
「食う…」
昼間の、あのヨロヨロはもう取れている。
分かっていたことを、自分の心が認めたがっていなかっただけなのだ。
最初から決まっていることに、男らしくなくグチグチ言っていたに過ぎない。
それよりも。
もっと、この関係を改善したかった。
このままでは。
普通の生活なんて―― 絶対に来ない。