冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
もしも、彼女のカップを自分が使ったら。
カァッ。
中学生みたいな感情が暴走した。
たかが、カップだぞ!
自分の暴走にタックルをかけて止める。
でないと、まるでバカみたいだった。
同じカップを共有したくらいで、意識するところなどないはずである。
ぐいっ。
思わず、勢いよくコーヒーを飲んでしまった。
あっという間に、底が見えてしまった。
このままでは、あと一口で飲みきってしまいそうだ。
クソッ。
もっとカップが大きければいいのだ。
もっとコーヒーが入っていればいいのである。
そうすれば、もう少しだけ一緒にいられるのに。
いつだって持て余すその感情に直面するたびに、彼は戸惑う、暴れる。
けれども、プライドを押さえつけるほどの力が、この時間にはあった。
あと一口を、できる限り引き延ばす。
冷め切ったコーヒーは、苦いばかりだ。
メイが、カタンとトレイの上にカップを戻した。
終わりの合図だ。
カイトは目を閉じて、最後の一口を飲む。
カタン。
乱暴になりすぎないように、トレイの上に置いた。
立ち上がる。
トレイを持って出ていく身体。
「おやすみなさい…」
パタン。
おやすみ―― まだ、その言葉は言えないまま。
もしも、彼女のカップを自分が使ったら。
カァッ。
中学生みたいな感情が暴走した。
たかが、カップだぞ!
自分の暴走にタックルをかけて止める。
でないと、まるでバカみたいだった。
同じカップを共有したくらいで、意識するところなどないはずである。
ぐいっ。
思わず、勢いよくコーヒーを飲んでしまった。
あっという間に、底が見えてしまった。
このままでは、あと一口で飲みきってしまいそうだ。
クソッ。
もっとカップが大きければいいのだ。
もっとコーヒーが入っていればいいのである。
そうすれば、もう少しだけ一緒にいられるのに。
いつだって持て余すその感情に直面するたびに、彼は戸惑う、暴れる。
けれども、プライドを押さえつけるほどの力が、この時間にはあった。
あと一口を、できる限り引き延ばす。
冷め切ったコーヒーは、苦いばかりだ。
メイが、カタンとトレイの上にカップを戻した。
終わりの合図だ。
カイトは目を閉じて、最後の一口を飲む。
カタン。
乱暴になりすぎないように、トレイの上に置いた。
立ち上がる。
トレイを持って出ていく身体。
「おやすみなさい…」
パタン。
おやすみ―― まだ、その言葉は言えないまま。