冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 エレベーターのドアが開くと、目の前にトウセイの2号店はあった。

「あら? 先生?」

 不思議そうなスタッフの声だ。

 トウセイは、今日はここに来る予定ではなかったのかもしれない。

「ちょっとね…」

 言うなり奥の方に踏み込み、彼は服の選別に入っていた。
 メイは、入口のところに突っ立ったまま、その姿を見ている。

 気に入ったのを選ばせようという気は、トウセイにはないようだ。

 最初から、頭の中にイメージがあるのだろう。

 そういうところが、少しカイトと似ているか。

「いらっしゃいませ…何かお探しで?」

 まさか、トウセイの連れとは思わなかったのだろう。

 普通のお客だと勘違いされ、マヌカンに声をかけられた。

「ああ、それには構わなくていいよ」

 それ。

 トウセイは、白菜女についてそういう表現をした。

「あ、あら…先生のお連れさんだったんですか」

 慌ててマヌカンは、ホホホと作り笑いをすると行ってしまう。

「何だ…ラダに着せてたのか」

 トウセイの目が、ウィンドウのマネキンに止まる。

 そのマネキンに近付くや、ちゃっちゃか服を脱がせ始める。

 白くてのっぺらぼうな身体が脱がされていく様子は、頭では分かっていても、何だか妙な気分になるメイだった。
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