冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
「マネキンって、ラダって言うんですか?」
脱がせた服を持ってきたトウセイに、素朴な疑問をぶつけてみた。
すると、彼は眉を上げる。
「あのマネキンが、ラダって言うんだよ…ラディウス・エリューカってね。その隣のは、セーゼ・クランベルール」
まるで当たり前なことのように、マネキンを呼んだ。
この人。
メイは、パチクリと目を瞬かせた。
この人…マネキンに、名前をつけてるんだわ。
頭の中に、マネキンに話しかけながら、着せ替えをするトウセイの姿が浮かんで、思わず笑ってしまいそうになる。ぐっとこらえた。
芸術家には変わり者が多いというが、ご多分にももれず、彼もそのクチのようだ。
そう言えば、メイも子供の頃、お人形さんには全部名前をつけてちゃんと覚えていた。
そして、おままごとや着せ替えをして育ってきたのだ。
「ラダさんとセーゼさんって言うんですね…」
思い出してしまって、ついつい懐かしい目でマネキンを見てしまった。
彼女の持っていた人形は、あんなには大きくなかったけれども。
マネキンの名前を呼んだ後、ふっとトウセイを見ると、彼は怒っているような顔になっていた。
ああ! バカにしてないんです!
慌てて、その旨を伝えようとしたが、トウセイの方が速かった。
「初対面の人に、ラダって言われるのは気に入らないね。彼女の正式な名前『ラディウス』って呼んでくれないか?」
しかし―― 論点は、ズレていた。
「マネキンって、ラダって言うんですか?」
脱がせた服を持ってきたトウセイに、素朴な疑問をぶつけてみた。
すると、彼は眉を上げる。
「あのマネキンが、ラダって言うんだよ…ラディウス・エリューカってね。その隣のは、セーゼ・クランベルール」
まるで当たり前なことのように、マネキンを呼んだ。
この人。
メイは、パチクリと目を瞬かせた。
この人…マネキンに、名前をつけてるんだわ。
頭の中に、マネキンに話しかけながら、着せ替えをするトウセイの姿が浮かんで、思わず笑ってしまいそうになる。ぐっとこらえた。
芸術家には変わり者が多いというが、ご多分にももれず、彼もそのクチのようだ。
そう言えば、メイも子供の頃、お人形さんには全部名前をつけてちゃんと覚えていた。
そして、おままごとや着せ替えをして育ってきたのだ。
「ラダさんとセーゼさんって言うんですね…」
思い出してしまって、ついつい懐かしい目でマネキンを見てしまった。
彼女の持っていた人形は、あんなには大きくなかったけれども。
マネキンの名前を呼んだ後、ふっとトウセイを見ると、彼は怒っているような顔になっていた。
ああ! バカにしてないんです!
慌てて、その旨を伝えようとしたが、トウセイの方が速かった。
「初対面の人に、ラダって言われるのは気に入らないね。彼女の正式な名前『ラディウス』って呼んでくれないか?」
しかし―― 論点は、ズレていた。