冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「あ、社長!」
いきなり出てきた彼を、秘書が呼び止めようとする。
しかし、彼は聞いちゃいなかった。
そのまま、すごい歩幅で突進すると、ちょうど来ていたエレベーターに飛び乗ったのである。
開発室の階では、下りなかった。
そのまま一気に駐車場の地下まで下りる。
「あ、今日はお早いですね…」
などという守衛から車のカギをひったくると、カイトは乗り込んだ。
通勤を車にしてしまったせいで、バイクよりも余計に時間がかかるようになった。
それすら忌々しい。
どうあっても、渋滞には勝てないのだ。
既に真っ暗な夜道を、カイトは急いで車を走らせた。
しかし、信号無視はできなくて―― しょうがなく、車を停止させる。
駅前だった。
クリスマスなど、まだ少し先の話だというのに、既に浮かれ騒いでいるカンジがする。
ケーキ屋のウィンドウには、白いスプレーで雪の結晶だの、メリー何とかの英語が飛び交っている。
ケーキ。
その単語に止まって、慌ててカイトは頭をうち振った。もう、窓の外は見ないようにする。
でないと、自分がとんでもないことをしてしまいそうな気がしたのだ。
ケーキどころの話ではなかった。
そのクリスマスとやらの日には、あのソウマ夫婦のところのパーティに出ると言ってしまったのである。
絶対、どっかで断ってやる。
想像するだけで顔が歪んでしまって。
青信号になった途端、カイトはそれを振り切るためにロケットスタートした。
はやる心を抑えて、ようやく自宅に帰り着く。
車をガレージに頭から突っ込んで、彼は車から降りた。
途端に、凍ったような空気がカイトの身体を捕まえる。
暖房のよく効いた車から、降りてしまったせいである。
「あ、社長!」
いきなり出てきた彼を、秘書が呼び止めようとする。
しかし、彼は聞いちゃいなかった。
そのまま、すごい歩幅で突進すると、ちょうど来ていたエレベーターに飛び乗ったのである。
開発室の階では、下りなかった。
そのまま一気に駐車場の地下まで下りる。
「あ、今日はお早いですね…」
などという守衛から車のカギをひったくると、カイトは乗り込んだ。
通勤を車にしてしまったせいで、バイクよりも余計に時間がかかるようになった。
それすら忌々しい。
どうあっても、渋滞には勝てないのだ。
既に真っ暗な夜道を、カイトは急いで車を走らせた。
しかし、信号無視はできなくて―― しょうがなく、車を停止させる。
駅前だった。
クリスマスなど、まだ少し先の話だというのに、既に浮かれ騒いでいるカンジがする。
ケーキ屋のウィンドウには、白いスプレーで雪の結晶だの、メリー何とかの英語が飛び交っている。
ケーキ。
その単語に止まって、慌ててカイトは頭をうち振った。もう、窓の外は見ないようにする。
でないと、自分がとんでもないことをしてしまいそうな気がしたのだ。
ケーキどころの話ではなかった。
そのクリスマスとやらの日には、あのソウマ夫婦のところのパーティに出ると言ってしまったのである。
絶対、どっかで断ってやる。
想像するだけで顔が歪んでしまって。
青信号になった途端、カイトはそれを振り切るためにロケットスタートした。
はやる心を抑えて、ようやく自宅に帰り着く。
車をガレージに頭から突っ込んで、彼は車から降りた。
途端に、凍ったような空気がカイトの身体を捕まえる。
暖房のよく効いた車から、降りてしまったせいである。