冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
胃がズキズキする。
こめかみも、眉間も、喉も―― 痛くないところなど、どこもなかった。
でも胸が。
胸が。
裂ける。
バリバリと音をたてて、自分から彼女がひきはがされる。
カイトの胸の中にある彼女の椅子。
その椅子のある部屋。
気持ち。思い。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。
たった、一人の女が、欲しかった。
あんな女は、他に誰もいない。
この世のどこを探しても、たった一人なのだ。
なのに!
いねぇ!
街中を、もう何周回っただろうか。
彼女は車という足を持っていないので、一人でちょっと出かけたくらいなら、そんなに遠くに行けるハズもなかった。
自発的に遠くに離れようと思うか、誰かに連れ去られていない限りは。
どちらだって、カイトは考えたくなかった。
もしかしたら、もう家に帰っているのかもしれない。
彼とすれ違いで、何のことはなく帰り着いているのかも。
カイトはバイクをすっ飛ばして、家に戻った。
けれども、彼が飛び出した時のまま、玄関は開けっ放しで、ケイタイの破片は転がったままだった。
帰って、ないのだ。
胃がズキズキする。
こめかみも、眉間も、喉も―― 痛くないところなど、どこもなかった。
でも胸が。
胸が。
裂ける。
バリバリと音をたてて、自分から彼女がひきはがされる。
カイトの胸の中にある彼女の椅子。
その椅子のある部屋。
気持ち。思い。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。
たった、一人の女が、欲しかった。
あんな女は、他に誰もいない。
この世のどこを探しても、たった一人なのだ。
なのに!
いねぇ!
街中を、もう何周回っただろうか。
彼女は車という足を持っていないので、一人でちょっと出かけたくらいなら、そんなに遠くに行けるハズもなかった。
自発的に遠くに離れようと思うか、誰かに連れ去られていない限りは。
どちらだって、カイトは考えたくなかった。
もしかしたら、もう家に帰っているのかもしれない。
彼とすれ違いで、何のことはなく帰り着いているのかも。
カイトはバイクをすっ飛ばして、家に戻った。
けれども、彼が飛び出した時のまま、玄関は開けっ放しで、ケイタイの破片は転がったままだった。
帰って、ないのだ。