冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
い…ねぇ。
張りつめていた糸が、ブツンと切れる。
操り人形のように、そのままカイトは玄関口に座り込んだ。
信じたくなかった。
何もかも、いま起きているコトの一部始終どれも全部ひっくるめて―― 信じたくなかった。
寒い風と冷え切った身体が、いまを現実だと突きつけてくれるというのに、カイトは、まだどこかで『おはようございます、起きて下さい』と、彼女に言われるのを待っているのだ。
頭を抱える。
こんな時に、コンピュータの知識の詰まっている頭など、何の役にも立たない。
ただのガラクタ置き場だ。
このままでは、胸の半分がひきちぎられて持っていかれる。
カイトは、自分の髪を強く掴んで―― その痛みから逃れようとした。
メイ…!
――プ…ルルル…プ…ル…
いまにも途切れそうな音が鳴った。
静寂しきった空間に、消えてしまいそうなかよわい鳴き声。
カイトは、ゆっくりと顔を上げた。髪から手を離す。
プ…ルルルル…ルルル…
泣いていたのは、彼が叩きつけたケイタイだった。
瀕死の重傷のまま、助けを求めている。
助けを。
カイトは―― それを掴んでいた。
い…ねぇ。
張りつめていた糸が、ブツンと切れる。
操り人形のように、そのままカイトは玄関口に座り込んだ。
信じたくなかった。
何もかも、いま起きているコトの一部始終どれも全部ひっくるめて―― 信じたくなかった。
寒い風と冷え切った身体が、いまを現実だと突きつけてくれるというのに、カイトは、まだどこかで『おはようございます、起きて下さい』と、彼女に言われるのを待っているのだ。
頭を抱える。
こんな時に、コンピュータの知識の詰まっている頭など、何の役にも立たない。
ただのガラクタ置き場だ。
このままでは、胸の半分がひきちぎられて持っていかれる。
カイトは、自分の髪を強く掴んで―― その痛みから逃れようとした。
メイ…!
――プ…ルルル…プ…ル…
いまにも途切れそうな音が鳴った。
静寂しきった空間に、消えてしまいそうなかよわい鳴き声。
カイトは、ゆっくりと顔を上げた。髪から手を離す。
プ…ルルルル…ルルル…
泣いていたのは、彼が叩きつけたケイタイだった。
瀕死の重傷のまま、助けを求めている。
助けを。
カイトは―― それを掴んでいた。