冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●137
電話は―― かけたのだ。
彼女が唯一知っている、カイトの情報。
鋼南電気に、勇気を出して電話をかけたのである。
『はい、ありがとうございます。鋼南電気です』
受付の女性らしい声が出る。
しょうがない。
電話帳には、代表の電話番号しか書いていないのだ。
いきなり、カイトが出るハズもなかった。
「あっ、あの…あの…」
それなのに、思い切り焦ってしまった。
カイトが社長なのは聞いている。
しかし、本当に『社長をお願いします』で通用するのだろうかと、今になって心配になったからである。
言わなければ自滅だ。
メイは、勇気を振り絞ってそれを伝えた。
返事は。
『どちら様でしょうか?』
はっ。
どちら様ってー!!!!!
これまた焦る。
社長に電話をつなぐのだ。
氏素性の分からない相手を、あっさり通すはずがなかった。
けれど、ここで『メイといいます』などと言えなかったのだ。
そんなもので通用するハズがなかった。
「ええっと…その…家のものです」
精一杯の表現だ。
前回、家政婦発言をしてしまった時、カイトは物凄く荒れてしまった。
だから、彼女なりに一生懸命頑張って言った言葉だ。
これなら、怪しい女からの電話も、うまくコーティングしてくれるのではないかと思った。
『…少々お待ちください』
受付は怪訝そうだった。
でも、どんなに怪訝でもよかった。
とにかく、彼につないでさえもらえたら―― いまほど、カイトに怒鳴られたい時はなかったのだ。
電話は―― かけたのだ。
彼女が唯一知っている、カイトの情報。
鋼南電気に、勇気を出して電話をかけたのである。
『はい、ありがとうございます。鋼南電気です』
受付の女性らしい声が出る。
しょうがない。
電話帳には、代表の電話番号しか書いていないのだ。
いきなり、カイトが出るハズもなかった。
「あっ、あの…あの…」
それなのに、思い切り焦ってしまった。
カイトが社長なのは聞いている。
しかし、本当に『社長をお願いします』で通用するのだろうかと、今になって心配になったからである。
言わなければ自滅だ。
メイは、勇気を振り絞ってそれを伝えた。
返事は。
『どちら様でしょうか?』
はっ。
どちら様ってー!!!!!
これまた焦る。
社長に電話をつなぐのだ。
氏素性の分からない相手を、あっさり通すはずがなかった。
けれど、ここで『メイといいます』などと言えなかったのだ。
そんなもので通用するハズがなかった。
「ええっと…その…家のものです」
精一杯の表現だ。
前回、家政婦発言をしてしまった時、カイトは物凄く荒れてしまった。
だから、彼女なりに一生懸命頑張って言った言葉だ。
これなら、怪しい女からの電話も、うまくコーティングしてくれるのではないかと思った。
『…少々お待ちください』
受付は怪訝そうだった。
でも、どんなに怪訝でもよかった。
とにかく、彼につないでさえもらえたら―― いまほど、カイトに怒鳴られたい時はなかったのだ。