冬うらら~猫と起爆スイッチ~
◆
「あ、結構です!」
慌てたようだったが、拒否の声は強かった。
驚きに、押し掛けたプッシュフォンのボタンを止める。
「あの…うちに帰ったら、おナベだから…きっと…待って…」
ぼろぼろぼろっっっ。
自分の言っていることで、穴に落ちてしまったらしい。
彼女は、ついに泣き始めてしまった。
うわぁ。
内心で、思い切り焦った。
こういうシチュエーションが、彼は一番苦手なのである。
まだ、チンピラがナイフを持って食ってかかってきた方がマシだ。
慌てて、他の署員を捕まえようとしたら、「あ、それじゃあ巡回に行ってきます」などと、帽子をかぶって逃げ出された。
派出所内に、2人きりになってしまう。
ジョウは、困ってしまった。
いやもう、最初から困っていたのだが、その度合いがグンと跳ね上がったのだ。
気分は、『犬のお巡りさん』である。
迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのおうちはどこですか―― と、ワンワン言うしかないのだ。
困りながらも、メイの側に膝をついて、威圧的にならないように下から見上げる。
「帰ってナベを作りたいのなら、すまんがもうちょっと協力してくれ。住所も電話番号も知らない状態では、教えることは出来ない。せめて、何か情報をくれないと」
近くにあった銀行の粗品ティッシュを、彼女の側の机に置きながら、落ちついてくれることを願った。
メイは、まだ泣いてはいたけれども、しばらく考えてはいたけれども、ついに頷いたのだった。
「あ、結構です!」
慌てたようだったが、拒否の声は強かった。
驚きに、押し掛けたプッシュフォンのボタンを止める。
「あの…うちに帰ったら、おナベだから…きっと…待って…」
ぼろぼろぼろっっっ。
自分の言っていることで、穴に落ちてしまったらしい。
彼女は、ついに泣き始めてしまった。
うわぁ。
内心で、思い切り焦った。
こういうシチュエーションが、彼は一番苦手なのである。
まだ、チンピラがナイフを持って食ってかかってきた方がマシだ。
慌てて、他の署員を捕まえようとしたら、「あ、それじゃあ巡回に行ってきます」などと、帽子をかぶって逃げ出された。
派出所内に、2人きりになってしまう。
ジョウは、困ってしまった。
いやもう、最初から困っていたのだが、その度合いがグンと跳ね上がったのだ。
気分は、『犬のお巡りさん』である。
迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのおうちはどこですか―― と、ワンワン言うしかないのだ。
困りながらも、メイの側に膝をついて、威圧的にならないように下から見上げる。
「帰ってナベを作りたいのなら、すまんがもうちょっと協力してくれ。住所も電話番号も知らない状態では、教えることは出来ない。せめて、何か情報をくれないと」
近くにあった銀行の粗品ティッシュを、彼女の側の机に置きながら、落ちついてくれることを願った。
メイは、まだ泣いてはいたけれども、しばらく考えてはいたけれども、ついに頷いたのだった。