冬うらら~猫と起爆スイッチ~
◆
自分の住所も電話番号も知らない女性ではあったが、保護者らしき人の職場は知っていた。
そこに何度か電話をかけたらしいが、ダメだったようだ。
だから、あんな公衆電話の側にいたのだろう。
聞けば、震える声で『鋼南電気の社長』と言った。
社長?
ピクリ。
ジョウの耳が、過剰反応する。
もしや、彼女はその社長の愛人か何かで!
あーれー。
クレヨン画の社長とやっちゃんの違いは、やっちゃんの方は顔に傷があって、社長の方が頭がバーコードで太っているところである。
そんな画像を背負ったまま、ジョウは鋼南電気にかけた。
「あー…こちら、○○駅東派出所ですが、そちらに…」
「ああ、もう帰られたんですか…それでは、自宅の住所と電話番号をお聞かせ…え? 出来ない?」
秘書か何かのようだ。
相手は、彼が警察官だと分かったら、少し狼狽したような様子を見せる。
何か刑事事件だと思ったのか。
しかし、自宅の住所と電話番号は教えられないというのだ。
おそらく、これでメイも困ったのだろう。
「どうにかして連絡がつかないですか? それじゃ、○○駅東派出所まで電話を、電話番号は…」
チン。
ジョウは受話器を置いた。
振り返ると、メイはティッシュを何枚かぬいて顔をぬぐっている。
「さあ、これで大丈夫だ。なあに、いまは携帯電話があるんだ。すぐに連絡が来る」
しかし、内心は不安だった。
どういう関係かは分からないが、保護者の勤め先社から、自宅の電話番号なども教えてもらえないような立場なのである。
このメイという女性は。
本当に電話が来るかどうか――
もしこなかったら。
ジョウは、知り合いの女性を検索し始めた。
彼女を、一晩泊めてくれそうな相手を当たっていたのだ。
そして。
電話はこなかった。
キキーーーーッッッ!
ガシャーー-ン!!
代わりに、何か事故でもあったのかと思えるような大きな音が、すぐそこで起きた。
自分の住所も電話番号も知らない女性ではあったが、保護者らしき人の職場は知っていた。
そこに何度か電話をかけたらしいが、ダメだったようだ。
だから、あんな公衆電話の側にいたのだろう。
聞けば、震える声で『鋼南電気の社長』と言った。
社長?
ピクリ。
ジョウの耳が、過剰反応する。
もしや、彼女はその社長の愛人か何かで!
あーれー。
クレヨン画の社長とやっちゃんの違いは、やっちゃんの方は顔に傷があって、社長の方が頭がバーコードで太っているところである。
そんな画像を背負ったまま、ジョウは鋼南電気にかけた。
「あー…こちら、○○駅東派出所ですが、そちらに…」
「ああ、もう帰られたんですか…それでは、自宅の住所と電話番号をお聞かせ…え? 出来ない?」
秘書か何かのようだ。
相手は、彼が警察官だと分かったら、少し狼狽したような様子を見せる。
何か刑事事件だと思ったのか。
しかし、自宅の住所と電話番号は教えられないというのだ。
おそらく、これでメイも困ったのだろう。
「どうにかして連絡がつかないですか? それじゃ、○○駅東派出所まで電話を、電話番号は…」
チン。
ジョウは受話器を置いた。
振り返ると、メイはティッシュを何枚かぬいて顔をぬぐっている。
「さあ、これで大丈夫だ。なあに、いまは携帯電話があるんだ。すぐに連絡が来る」
しかし、内心は不安だった。
どういう関係かは分からないが、保護者の勤め先社から、自宅の電話番号なども教えてもらえないような立場なのである。
このメイという女性は。
本当に電話が来るかどうか――
もしこなかったら。
ジョウは、知り合いの女性を検索し始めた。
彼女を、一晩泊めてくれそうな相手を当たっていたのだ。
そして。
電話はこなかった。
キキーーーーッッッ!
ガシャーー-ン!!
代わりに、何か事故でもあったのかと思えるような大きな音が、すぐそこで起きた。