冬うらら~猫と起爆スイッチ~
◆
考えても考えても、どれにも答えがでない。
分からん。
ジョウは頭を左右に振った。
あの二人の関係が、ついに解き明かされなかったのだ。
出てくるクレヨン画の想像には、ロクなものがなかった。
それは、きっと職業病である。
まあ、相手の氏素性ははっきりしているのだ。
鋼南電気の社長に問い合わせれば、あのメイという女性が何者で、どういう関係なのかが分かるだろう。
そして、あの怒り狂っていた男が何者かも。
さて。
ジョウは床を見た。
他の巡査が見回りから戻ってくる前に、この床の惨状を片づけなければならなかった。
大きな身体を折り曲げるように座り込む。
中身は、どう見てもナベの材料ばかりだ。
トウフの容器も破れていたが、シラタキの容器もつぶれていた。
だから、こんな水びたしになったのだ。
太い指が濡れたのを、振って払う。
食べ物を粗末にする奴は、ロクな奴がおらん。
ジョウは、ため息をつきながら割れた白菜を拾い集めた。
そのロクでもない男に連れ去られた女性のことを考えると、やはり本署の方に通報した方がいいだろうか、と悩む。
けれども。
うちに帰ったらナベだから―― そう言って泣いたメイが、彼の職務の邪魔をしてしまった。
彼女が、本当に帰りたがっていたのが、その言葉の中にぎゅうっと濃縮されていたのだ。
やれやれ。
こんな妙な事件は、もうこりごりだった。
考えても考えても、どれにも答えがでない。
分からん。
ジョウは頭を左右に振った。
あの二人の関係が、ついに解き明かされなかったのだ。
出てくるクレヨン画の想像には、ロクなものがなかった。
それは、きっと職業病である。
まあ、相手の氏素性ははっきりしているのだ。
鋼南電気の社長に問い合わせれば、あのメイという女性が何者で、どういう関係なのかが分かるだろう。
そして、あの怒り狂っていた男が何者かも。
さて。
ジョウは床を見た。
他の巡査が見回りから戻ってくる前に、この床の惨状を片づけなければならなかった。
大きな身体を折り曲げるように座り込む。
中身は、どう見てもナベの材料ばかりだ。
トウフの容器も破れていたが、シラタキの容器もつぶれていた。
だから、こんな水びたしになったのだ。
太い指が濡れたのを、振って払う。
食べ物を粗末にする奴は、ロクな奴がおらん。
ジョウは、ため息をつきながら割れた白菜を拾い集めた。
そのロクでもない男に連れ去られた女性のことを考えると、やはり本署の方に通報した方がいいだろうか、と悩む。
けれども。
うちに帰ったらナベだから―― そう言って泣いたメイが、彼の職務の邪魔をしてしまった。
彼女が、本当に帰りたがっていたのが、その言葉の中にぎゅうっと濃縮されていたのだ。
やれやれ。
こんな妙な事件は、もうこりごりだった。