冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 幸い、下に着込んでいたシャツが、まだ彼女を守ってくれていた。

 しかし、彼の動きが止まるようには見えない。

 手が近づいてくる。

 違う! 違う! これは違うの…!!!!

 メイは必死で、自分に言い聞かせた。

 更に酷くなる怖い考えを否定する。

 彼がこんなこと―― !!!

 目を見開いた。

 信じられなかった。

 カイトの手が、シャツの上から強く胸を掴んだのだ。

 驚きと怖さで、ビクッと身体を震わせた。

 しかし、それでももどかしいように、シャツをめくりあげられる。

 一瞬、彼の爪がメイのおなかに当たった。

 でも、痛いとかそういうことを考える余裕などない。

 露出した下着までも、彼が引き上げてしまったのだ。

 そんな―― こと。

 メイは、唇を震わせた。

 いまの自分の姿を思い描かないようにする。

 とにかくテレビのスイッチを切ろうとするのだが、フラッシュするような点滅の隙間に、その光景がよぎる。

 無理矢理、それを払いのけた。

 自分の上にいるカイトは、炎みたいに熱かった。


 手が、彼女の衣服にかかる度に、強引な力で身体が上に右に振り回される。

 カイトは。

 何をしているのか。

 どうしても信じられなかった。

 一体、何のために触れているのかも分からない。

 これは、そういうことなのか。
 カイトは自分に、そういうことをしているのか。

 でも。

 それなら、何故!

 カイトは怒っていながらも、まるで今にも泣きそうな顔をしているのか。
< 659 / 911 >

この作品をシェア

pagetop