冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 彼女が。

 メイが座っていたからこそ、キラキラのピカピカだったのだ。

 カイトは、意識を振り払った。

 夕方になっても。
 夜になっても。

 同じ気持ちを、何度も繰り返すだけだった。

 そして痛めつけた。

 最低のバカ野郎と自分をなじり続けた。

 夜中になる。

 日付変更線を越える。

 どうやって帰ったのか覚えてもいない。
 気づいたら、自分の家の玄関の前だった。無意識に、彼の身体は動いていたのだ。

 電気がついたままの玄関のドアを開ける時、心臓が破裂しそうなくらい暴れていた。

 このドアの向こうに彼女がいたら。

 しかし、いなかった。

 当たり前だ。

 いるはずなどない。

 時計を見たら、もう朝の方が近かったのだから。

 ホッとした自分にムカついた。

 部屋に帰って、背広のままベッドに倒れ込む。

 意識は余りはっきりしていないというのに、全く眠りの縁に引きずり込まれる気配がなかった。

 またそれにムカついて起きあがる。

 押し入れの棚の中に、どこかからもらった缶ビールのケースがあるのは知っていた。最近は飲んでいなかったので冷やしていない。


 ぬるいままのビールを、何本も飲んだ。
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