冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
あと少しで、缶が空っぽになる―― そんな時。
ノックがあった。
ビクッ。
カイトは、心臓を握りつぶされそうな怖さを覚える。
まさか。
いや。
シュウだ。
きっと、あいつだ。
視線をドアに釘づけたまま、意識の中で希望を渦巻かせた。
「メイです…失礼します」
なのに。
そんな希望はうち砕かれた。
ドアが開く。
彼女が入ってくるのだ。
部屋の中では、彼には逃げ場はない。
メイと向かい合わなければならなかった。
よろけて後ろ手をつく。
ちょうど、ノートパソコンを置いてある机があったので、転倒することはなかった。
その家具だけが、いまカイトの味方なのだ。
メイが入ってきた。
パジャマではない。
ということは、寝ていなかったのだ。
寝ていなかったということは―― カイトを待っていたのである。
わざわざ部屋を訪ねてくるくらい。
手にはトレイを持っていない。
お茶をしにきたワケではなかった。
ドクンドクン。
心臓がいやな鼓動を立てる。
喉のすぐ入り口のところにまで上がってきて、周囲の組織を押しのけるように動くのだ。
ビールを飲んだばかりだというのに、口の中がカラカラになっている。
しかし、手に握っているだけの缶を持ち上げることもできなかった。
ぺこり。
彼女は頭を下げた。
「明日…この家を、おいとまさせてもらってもよろしいでしょうか?」
青ざめて震える唇で、彼女はそう言った。
ひどく辛そうな表情で。
あと少しで、缶が空っぽになる―― そんな時。
ノックがあった。
ビクッ。
カイトは、心臓を握りつぶされそうな怖さを覚える。
まさか。
いや。
シュウだ。
きっと、あいつだ。
視線をドアに釘づけたまま、意識の中で希望を渦巻かせた。
「メイです…失礼します」
なのに。
そんな希望はうち砕かれた。
ドアが開く。
彼女が入ってくるのだ。
部屋の中では、彼には逃げ場はない。
メイと向かい合わなければならなかった。
よろけて後ろ手をつく。
ちょうど、ノートパソコンを置いてある机があったので、転倒することはなかった。
その家具だけが、いまカイトの味方なのだ。
メイが入ってきた。
パジャマではない。
ということは、寝ていなかったのだ。
寝ていなかったということは―― カイトを待っていたのである。
わざわざ部屋を訪ねてくるくらい。
手にはトレイを持っていない。
お茶をしにきたワケではなかった。
ドクンドクン。
心臓がいやな鼓動を立てる。
喉のすぐ入り口のところにまで上がってきて、周囲の組織を押しのけるように動くのだ。
ビールを飲んだばかりだというのに、口の中がカラカラになっている。
しかし、手に握っているだけの缶を持ち上げることもできなかった。
ぺこり。
彼女は頭を下げた。
「明日…この家を、おいとまさせてもらってもよろしいでしょうか?」
青ざめて震える唇で、彼女はそう言った。
ひどく辛そうな表情で。