冬うらら~猫と起爆スイッチ~
12/19 Sun.
●149
あんなに、あっさり受諾されるとは思ってもみなかった。
メイは部屋に帰って、ベッドの端に座る。
気抜けしてしまった。
心のどこかで、彼が怒鳴ってでも引き止めてくれるのではないかと思っていた。
そうであって欲しかったのだ。
そんな、甘い話はなかった。
ただ、『おいとまを』―― そう言った時、カイトがひどく苦しそうな顔をしていたのが気がかりだ。
メイを見るだけで辛そうな表情をしていたのに、どうして出ていくと言っても、あんな顔をしたのだろうか。
彼女は首を左右に振った。
考えても、もう何も戻らないのだ。
明日。
正確には、もう今日のうちにここを出ていかなければならないのだから。
荷物をまとめなきゃ。
部屋を見渡す。
何も持っていくものがないことに気づく。
彼女は、本当に一つも持たずにここに来たのだ。
いや、確かに最初に着てきた下着と毛皮はあった。
しかし、どっちもずっと残しておきたいものではない。
下着は庭先で焼いた。
毛皮は残っているが、クローゼットの奥深くにしまっている。
本当は焼こうと思ったのだ。
けれども、その大きさに戸惑って、結局不透明なビニール袋に入れてしまってある。
洋服。
クローゼットの中のそれは、ハルコが選んでくれたもの。
カイトが買ってくるように指示をしたのだ。
あんなに、あっさり受諾されるとは思ってもみなかった。
メイは部屋に帰って、ベッドの端に座る。
気抜けしてしまった。
心のどこかで、彼が怒鳴ってでも引き止めてくれるのではないかと思っていた。
そうであって欲しかったのだ。
そんな、甘い話はなかった。
ただ、『おいとまを』―― そう言った時、カイトがひどく苦しそうな顔をしていたのが気がかりだ。
メイを見るだけで辛そうな表情をしていたのに、どうして出ていくと言っても、あんな顔をしたのだろうか。
彼女は首を左右に振った。
考えても、もう何も戻らないのだ。
明日。
正確には、もう今日のうちにここを出ていかなければならないのだから。
荷物をまとめなきゃ。
部屋を見渡す。
何も持っていくものがないことに気づく。
彼女は、本当に一つも持たずにここに来たのだ。
いや、確かに最初に着てきた下着と毛皮はあった。
しかし、どっちもずっと残しておきたいものではない。
下着は庭先で焼いた。
毛皮は残っているが、クローゼットの奥深くにしまっている。
本当は焼こうと思ったのだ。
けれども、その大きさに戸惑って、結局不透明なビニール袋に入れてしまってある。
洋服。
クローゼットの中のそれは、ハルコが選んでくれたもの。
カイトが買ってくるように指示をしたのだ。