冬うらら~猫と起爆スイッチ~
△150
 やっと、元の生活に戻る。

 シュウはそう判断した。

 カイトが、あの女性が出ていくと告げたのだ。

 就寝中に携帯電話が鳴った。

 シュウは、ぱちっと目を開ける。

 暗い天井が見えたが、そのままむくりと起きあがる。

 こんな朝早くに。

 枕元の電気をつけ、眼鏡をかけてから時計を確認する。

 まだ、明け方の4時だった。

 電話は枕元に置いている。

 携帯の液晶表示を見ると、「自宅」の文字が見える。

 この家の電話番号だった。

 ということは、カイトが二階から電話をかけてきているのだ。

 一応、カイトの部屋にも自宅の電話は引いてある。

 普段は、ネット目的以外では、ほとんど使用されないはずの電話だった。

 シュウは、通話ボタンを押した。

「おはようございます」

 起き抜けの一言目であったが、言葉が詰まることはなかった。

 いつも通りの自分の声である。

『今日は…家にいろ』

 しかし、相手の電話の声は、とてもいつも通りのものではなかった。

 本当に、この電話の相手がカイトであるか、もう一度記憶と照合しなおしたくらいである。
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