冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「え……あ……しかし」
徹底した拒否に、驚くウェイター。
「……聞こえなかったんなら、もう一回言ってやるぜ?」
もうちょっとつつこうものなら、また怒鳴るぞ。
そういう気配で言うと、慌ててウェイターは逃げて行った。
クソッ。
本当に自分のリズムを作れないまま、カイトは固まったままの彼女を見る。
どうしたらいいのか、全然分からなかったし、自分が何をしたいのかも分からなかった。
彼は。
表面張力で震えるグラスをひっつかんだ。
ほんのわずかの衝撃でも、溢れそうになっているそれだ。
乱暴に持つまでもなく、簡単に彼の膝を汚した。
「あっ……!」
それに、彼女が驚きの声をあげる。
膝やシャツの胸が、こぼれるウィスキーで汚れるのも頓着せずに、カイトはそのグラスをあおったのである。
勢い余って、顎も、喉も汚れた。
でも気にせずに、彼はグラスの中を全部飲み干したのだ。
ガン、とテーブルにそれを戻し、乱暴に口を拭った。
身体中が、カーッとなったのが分かった。
酒には弱い方ではない。
しかし、ああいうムチャな飲み方もしないタイプなのだ、彼は。
ただ、この空気にどうにも耐えられなかったのである。
全身にアルコールが駆け抜ける。
熱い。
カイトはそう思った。
自分のグレイの目が、もっと濃くなったような気がする。
そんな気持ちのまま、もう一度顎を拭いながら、彼女を見た。
薄皮が破れる音が、またシャツの下から聞こえた。
「あの……オシボリ……」
取ってきます。
汚れたままのカイトの惨状を思い出したらしく、彼女は立ち上がろうとした。
その手首を掴んでいた。
「え……あ……しかし」
徹底した拒否に、驚くウェイター。
「……聞こえなかったんなら、もう一回言ってやるぜ?」
もうちょっとつつこうものなら、また怒鳴るぞ。
そういう気配で言うと、慌ててウェイターは逃げて行った。
クソッ。
本当に自分のリズムを作れないまま、カイトは固まったままの彼女を見る。
どうしたらいいのか、全然分からなかったし、自分が何をしたいのかも分からなかった。
彼は。
表面張力で震えるグラスをひっつかんだ。
ほんのわずかの衝撃でも、溢れそうになっているそれだ。
乱暴に持つまでもなく、簡単に彼の膝を汚した。
「あっ……!」
それに、彼女が驚きの声をあげる。
膝やシャツの胸が、こぼれるウィスキーで汚れるのも頓着せずに、カイトはそのグラスをあおったのである。
勢い余って、顎も、喉も汚れた。
でも気にせずに、彼はグラスの中を全部飲み干したのだ。
ガン、とテーブルにそれを戻し、乱暴に口を拭った。
身体中が、カーッとなったのが分かった。
酒には弱い方ではない。
しかし、ああいうムチャな飲み方もしないタイプなのだ、彼は。
ただ、この空気にどうにも耐えられなかったのである。
全身にアルコールが駆け抜ける。
熱い。
カイトはそう思った。
自分のグレイの目が、もっと濃くなったような気がする。
そんな気持ちのまま、もう一度顎を拭いながら、彼女を見た。
薄皮が破れる音が、またシャツの下から聞こえた。
「あの……オシボリ……」
取ってきます。
汚れたままのカイトの惨状を思い出したらしく、彼女は立ち上がろうとした。
その手首を掴んでいた。