冬うらら~猫と起爆スイッチ~
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カイトが散らかしたものを、たたみかけた跡が如実に残っている。
しかも、今朝着替えに飛び込んだり風呂に行ったりした彼が、けっ飛ばしでもしたのだろうか、あちこち更に乱れている。
ああ…。
メイは、顔を洗おうと思っていたのに、思わず床に座り込んでそれを片付け始めた。
昨夜、彼に叱られたことなど、すっかり忘れてしまっていた。
こんな惨状をまたいでいくことは、彼女には出来なかったのである。
どう入っていたか分からないけれども、ひきだしを開けて、分類しながらしまい始めた。
後で、片づけ方が気に入らないと思われたらどうしよう、と考えながら。
ガチャ。
そうしている内に、部屋のドアが開いたのが分かった。
ドキン、と胸が波打つ。
彼女は脱衣所の方にいて、部屋とを仕切るドアも閉めたので、外からは見えないハズだ。
いるはずの人間がいないのだ。
多分、彼は探すだろう。
きっと、ここなどすぐ見つかる。
けれども、メイは出ていけなかった。
身体が、止まってしまったのだ。
ほんの一時間。
カイトがいなかった時間なんて、そんなもの。
なのに、改めてまた顔を合わせると思うと、胸がドキドキした。
自分がこんな格好で、まだ顔も洗っていないのが――恥ずかしい。
相手は、きちんとした背広姿なのだから。
不公平な格好の自分が、すごく恥ずかしくてしょうがなかった。
しまいそこねたタオルを一つ見つけて、メイはそれを拾った。
持ったまま、メイはとりあえず立ち上がる。
胸は、まだドキドキし続けていて。
そうして、部屋に続くドアの方を振り返った。
ドアの向こうで何かしている音が聞こえる。
ごそごそと。
けれども、メイを探しているような様子はなかった。
もっと静かな動き。
もしかして、もう一人が帰ってきたんだろうかと思った。
どうにもメイを歓迎していない、冷静そうなあの顔がよぎって、彼女は怖くなってしまった。
カイトが散らかしたものを、たたみかけた跡が如実に残っている。
しかも、今朝着替えに飛び込んだり風呂に行ったりした彼が、けっ飛ばしでもしたのだろうか、あちこち更に乱れている。
ああ…。
メイは、顔を洗おうと思っていたのに、思わず床に座り込んでそれを片付け始めた。
昨夜、彼に叱られたことなど、すっかり忘れてしまっていた。
こんな惨状をまたいでいくことは、彼女には出来なかったのである。
どう入っていたか分からないけれども、ひきだしを開けて、分類しながらしまい始めた。
後で、片づけ方が気に入らないと思われたらどうしよう、と考えながら。
ガチャ。
そうしている内に、部屋のドアが開いたのが分かった。
ドキン、と胸が波打つ。
彼女は脱衣所の方にいて、部屋とを仕切るドアも閉めたので、外からは見えないハズだ。
いるはずの人間がいないのだ。
多分、彼は探すだろう。
きっと、ここなどすぐ見つかる。
けれども、メイは出ていけなかった。
身体が、止まってしまったのだ。
ほんの一時間。
カイトがいなかった時間なんて、そんなもの。
なのに、改めてまた顔を合わせると思うと、胸がドキドキした。
自分がこんな格好で、まだ顔も洗っていないのが――恥ずかしい。
相手は、きちんとした背広姿なのだから。
不公平な格好の自分が、すごく恥ずかしくてしょうがなかった。
しまいそこねたタオルを一つ見つけて、メイはそれを拾った。
持ったまま、メイはとりあえず立ち上がる。
胸は、まだドキドキし続けていて。
そうして、部屋に続くドアの方を振り返った。
ドアの向こうで何かしている音が聞こえる。
ごそごそと。
けれども、メイを探しているような様子はなかった。
もっと静かな動き。
もしかして、もう一人が帰ってきたんだろうかと思った。
どうにもメイを歓迎していない、冷静そうなあの顔がよぎって、彼女は怖くなってしまった。