冬うらら~猫と起爆スイッチ~
☆
「何をやったんだ、あのバカは」
とりあえず、ハルコを宥めるように腕を回しながら居間に向かう。
そしてソファに座らせた。
すぐ隣に自分も座り、身体をもたれさせてやる。
まずは、妻を落ちつかせなければならなかった。
「何も書いてないのよ…何故、出ていくことになったのか」
ちょっとしたことくらいで、出ていくハズはないのに。
ああ、どうしましょう―― ハルコは、本当に珍しくオロオロしていた。
彼らに注いでいた期待が、余りに大きかったせいだ。
ちょっとしたことくらいで、出ていくハズがないというのなら、相当の事件が起きたのだ。
聞けば、カイトとは連絡がつかないらしい。
というか、相手が電話を取らないのだ。
何度もハルコがケイタイの方にかけたらしいが、すぐに留守番電話になってしまうという。
カイトは、留守電が嫌いだ。
吹き込むのも、その声を聞くのも好きでないのを、ソウマは知っている。
そんな彼が留守電にしているということは、最初からそこに入っているメッセージを聞く気もないということだ。
これは。
カイト自身も、相当コタエているのが想像出来た。
もしくは怒って―― いや、それはありえない。
ソウマは、自分の想像を却下した。
あのカイトが、あのメイに怒ることなど想像も出来なかったのだ。
どんなに怒鳴っても、それはいま考えた怒りというのとは違う。
メイの文面も、怒っている様子はどこにもない。
淡々と書かれていることで、余計に悲しささえ伝わってくるようだ。
「シュウなら…」
何か知ってるんじゃないか?
ソウマは自分のケイタイを取ろうとした。
「もう聞いたわ…知ってることは全部。でも、全然お話にもならないのよ」
目撃した事実だけを、彼女に並べて見せたらしい。
やれやれ。
あの家に住んでいる連中ときたら、2人とも問題児だった。
「何をやったんだ、あのバカは」
とりあえず、ハルコを宥めるように腕を回しながら居間に向かう。
そしてソファに座らせた。
すぐ隣に自分も座り、身体をもたれさせてやる。
まずは、妻を落ちつかせなければならなかった。
「何も書いてないのよ…何故、出ていくことになったのか」
ちょっとしたことくらいで、出ていくハズはないのに。
ああ、どうしましょう―― ハルコは、本当に珍しくオロオロしていた。
彼らに注いでいた期待が、余りに大きかったせいだ。
ちょっとしたことくらいで、出ていくハズがないというのなら、相当の事件が起きたのだ。
聞けば、カイトとは連絡がつかないらしい。
というか、相手が電話を取らないのだ。
何度もハルコがケイタイの方にかけたらしいが、すぐに留守番電話になってしまうという。
カイトは、留守電が嫌いだ。
吹き込むのも、その声を聞くのも好きでないのを、ソウマは知っている。
そんな彼が留守電にしているということは、最初からそこに入っているメッセージを聞く気もないということだ。
これは。
カイト自身も、相当コタエているのが想像出来た。
もしくは怒って―― いや、それはありえない。
ソウマは、自分の想像を却下した。
あのカイトが、あのメイに怒ることなど想像も出来なかったのだ。
どんなに怒鳴っても、それはいま考えた怒りというのとは違う。
メイの文面も、怒っている様子はどこにもない。
淡々と書かれていることで、余計に悲しささえ伝わってくるようだ。
「シュウなら…」
何か知ってるんじゃないか?
ソウマは自分のケイタイを取ろうとした。
「もう聞いたわ…知ってることは全部。でも、全然お話にもならないのよ」
目撃した事実だけを、彼女に並べて見せたらしい。
やれやれ。
あの家に住んでいる連中ときたら、2人とも問題児だった。