冬うらら~猫と起爆スイッチ~
☆
「いつだったか、歌っていただろ? 何だったかな…『泣いてしまったら お茶にしましょう 寂しい夜も お茶にしましょう』…だったかな?」
もうウロ覚えだ。
聞いたのは随分、昔。
でも、彼女はいろんなことが起きると、必ずお茶を飲んでいる。
きっとその歌を忘れていないのだ。
「いつだったかって…中学生の時の劇の歌よ」
よく覚えていたわね。
ビックリした声だ。
台所でゴソゴソやっていたソウマは、ひょいと居間の方に顔を出した。
「覚えているさ。あの時の君は、お姫様に仕える侍女の役で、ティーポットとティーカップを持って歌っていただろう?」
こんな風に。
ソウマは手に持ったティーポットをそのままに、まるでオペラの真似事みたいに大げさに手を広げて、身体を揺らして見せた。
「もう…ソウマったら」
それに、妻はクスクスと笑う。
ソウマも笑顔を浮かべた。
オロオロした顔よりも、そっちの方が美人だった。
「まあ、あのバカのことはオレに任せて…とりあえずはお茶でもしよう」
しかし。
頭の痛い事件であることは、変わりなかった。
修復できればいいのだが。
いまのカイトの状況を、本当はかなり想像したくなかった。
「いつだったか、歌っていただろ? 何だったかな…『泣いてしまったら お茶にしましょう 寂しい夜も お茶にしましょう』…だったかな?」
もうウロ覚えだ。
聞いたのは随分、昔。
でも、彼女はいろんなことが起きると、必ずお茶を飲んでいる。
きっとその歌を忘れていないのだ。
「いつだったかって…中学生の時の劇の歌よ」
よく覚えていたわね。
ビックリした声だ。
台所でゴソゴソやっていたソウマは、ひょいと居間の方に顔を出した。
「覚えているさ。あの時の君は、お姫様に仕える侍女の役で、ティーポットとティーカップを持って歌っていただろう?」
こんな風に。
ソウマは手に持ったティーポットをそのままに、まるでオペラの真似事みたいに大げさに手を広げて、身体を揺らして見せた。
「もう…ソウマったら」
それに、妻はクスクスと笑う。
ソウマも笑顔を浮かべた。
オロオロした顔よりも、そっちの方が美人だった。
「まあ、あのバカのことはオレに任せて…とりあえずはお茶でもしよう」
しかし。
頭の痛い事件であることは、変わりなかった。
修復できればいいのだが。
いまのカイトの状況を、本当はかなり想像したくなかった。