冬うらら~猫と起爆スイッチ~
12/21 Tue.
□155
社長、と呼びかけられて目が覚めた。
カイトは、だるい身体をむくりと起こした。就業時間がやってきたらしい。
開発室には、端の方に長椅子がある。
仕事で根を詰めた連中のための、仮眠所のようなところだ。
カイトは、そこで夜を越した。
暖房を最強で一晩中かけっぱなしにしていたせいか、喉がカラカラに乾いている。
いやな汗もかいていて、全身がゴマあえにでもなった気分だ。
長袖Tシャツにジーンズという出で立ちだった。
もう背広なんか、着てもいない。
いや、着ていないワケではなく── もう着たくないのだ。
ネクタイだって見たくもない。
元々好きで着ていた服ではないのだ。
開発室の日は、いつもこんなラフな格好だった。
その生活に戻っただけである。
ふらふらとコンピュータの前に座る。
夜明け前まで、そうして座っていた。
ずっとキーボードを叩いていた。
会社の企画にも何にもないヤツを、彼は一から作り始めていたのだ。
思い出すには余りにつらいことが、頭の中をよぎらないように、カイトはもっと恐ろしいものを作ろうと思ったのだ。
ダークネスのような、ちんたらしたアドベンチャーには興味がない。
彼が作るのはシミュレーションだ。
戦場MAPで人と化け物がせめぎあう。
一見、チェスの駒のように見えるが、その内容は数字と殺戮のゲーム。
プレイヤーは人間側だ。
要するに、侵略してきた化け物を、倒して進んでいかなければならないのだ。
人間側の駒は、傷を負った分、決して回復しない。
一応、基準値は回復するが、傷を負う度に回復する量が減っていく。
経験値が増えても、力こそ強大にはなるがHPは落ちていく一方だ。
社長、と呼びかけられて目が覚めた。
カイトは、だるい身体をむくりと起こした。就業時間がやってきたらしい。
開発室には、端の方に長椅子がある。
仕事で根を詰めた連中のための、仮眠所のようなところだ。
カイトは、そこで夜を越した。
暖房を最強で一晩中かけっぱなしにしていたせいか、喉がカラカラに乾いている。
いやな汗もかいていて、全身がゴマあえにでもなった気分だ。
長袖Tシャツにジーンズという出で立ちだった。
もう背広なんか、着てもいない。
いや、着ていないワケではなく── もう着たくないのだ。
ネクタイだって見たくもない。
元々好きで着ていた服ではないのだ。
開発室の日は、いつもこんなラフな格好だった。
その生活に戻っただけである。
ふらふらとコンピュータの前に座る。
夜明け前まで、そうして座っていた。
ずっとキーボードを叩いていた。
会社の企画にも何にもないヤツを、彼は一から作り始めていたのだ。
思い出すには余りにつらいことが、頭の中をよぎらないように、カイトはもっと恐ろしいものを作ろうと思ったのだ。
ダークネスのような、ちんたらしたアドベンチャーには興味がない。
彼が作るのはシミュレーションだ。
戦場MAPで人と化け物がせめぎあう。
一見、チェスの駒のように見えるが、その内容は数字と殺戮のゲーム。
プレイヤーは人間側だ。
要するに、侵略してきた化け物を、倒して進んでいかなければならないのだ。
人間側の駒は、傷を負った分、決して回復しない。
一応、基準値は回復するが、傷を負う度に回復する量が減っていく。
経験値が増えても、力こそ強大にはなるがHPは落ちていく一方だ。