冬うらら~猫と起爆スイッチ~
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立ちっぱなしの仕事というのは、実は初めてだった。
最初に勤めた職場は事務職だったので、全然一日の感覚が違う。
けれども、きっと慣れると思った。
重い足で帰り始めた。
家の近くのスーパーの明かりで足を止める。
夕飯の材料を買って帰ろうと思った。
小型の炊飯器をリサイクルショップで買ったので、ご飯を炊くことが出来るのだ。
とりあえずお米を。
思い出してしまった。
スーパーの前で立ちつくす。
お米を。
カイトが。
雨の中買いに行ってくれたことを。3袋も。
あれを、一つも使い切ることなく出てきてしまったのだ。
でも。
何故、3袋も。
きっと、1袋だとすぐに使い切ってしまって、また買いにいかなければいけないと思ったのだ。
彼女にしてみれば、それくらいずっとあの家にいていいのだと言われたような気がしていたのである。
その時のカイトの気持ちと、あの事件の後のカイトの気持ちは、どんな風に変わってしまったのだろう。
5キロのお米を一つ買った。
そうしたら、他のものは何も持てなくて、しょうがなくお米だけ抱えて帰った。
とりあえずお米をといで炊飯器に入れて、タイマーをセットしてから、別の買い物に出る―― もう外は真っ暗だ。
さっきお米を買ったスーパーに入る。
トウフは、もう売り切れだった。
コンニャクはあったけれども、コンニャクの料理を作る気にはなれずに、ニッパイコーナーを後にする。
立ちっぱなしの仕事というのは、実は初めてだった。
最初に勤めた職場は事務職だったので、全然一日の感覚が違う。
けれども、きっと慣れると思った。
重い足で帰り始めた。
家の近くのスーパーの明かりで足を止める。
夕飯の材料を買って帰ろうと思った。
小型の炊飯器をリサイクルショップで買ったので、ご飯を炊くことが出来るのだ。
とりあえずお米を。
思い出してしまった。
スーパーの前で立ちつくす。
お米を。
カイトが。
雨の中買いに行ってくれたことを。3袋も。
あれを、一つも使い切ることなく出てきてしまったのだ。
でも。
何故、3袋も。
きっと、1袋だとすぐに使い切ってしまって、また買いにいかなければいけないと思ったのだ。
彼女にしてみれば、それくらいずっとあの家にいていいのだと言われたような気がしていたのである。
その時のカイトの気持ちと、あの事件の後のカイトの気持ちは、どんな風に変わってしまったのだろう。
5キロのお米を一つ買った。
そうしたら、他のものは何も持てなくて、しょうがなくお米だけ抱えて帰った。
とりあえずお米をといで炊飯器に入れて、タイマーをセットしてから、別の買い物に出る―― もう外は真っ暗だ。
さっきお米を買ったスーパーに入る。
トウフは、もう売り切れだった。
コンニャクはあったけれども、コンニャクの料理を作る気にはなれずに、ニッパイコーナーを後にする。