冬うらら~猫と起爆スイッチ~
12/25 Sat.
□159
目が覚めても、もう今日が何日なのか分からない。
ただ、久しぶりに自宅で迎える朝だった。
身体がいやにだるくて、なかなか起き上がれない。
ほこりっぽいベッドの匂い。
部屋も、ビールの缶のせいかイヤな匂いだ。
閉め切ったままのカーテンで薄暗く―― 冬でなければ、カビでもはえてしまいそうだった。
そういえば、昨夜。
会社でキーボードを入力していたカイトを、シュウが車に乗せて強制送還したのだ。
呪文のような言葉ばかりが書いてある、栄養固形食品を、机の上に山積みにしていった。
あのシュウがここまでするとは。
おそらく、いまの自分は相当に酷いのだろう。
ああ。
昨日。
シュウの車の窓から見た景色は、赤だの緑だの。
きっと昨日が、クリスマス・イブとかいう日だったのだろう。
『メリー・クリスマス!』
信号で止まった時。
車の窓を閉ざしているにも関わらず、そんな声が聞こえてきたのだ。
金色の紙でできた、とんがり帽子をかぶっているサラリーマンだった。
顔は真っ赤で、すっかり酔っぱらっている。
駅前は、そんな連中で溢れ返っていた。
ケーキを売る女の声も、遠くに聞こえる。
遅くまでご苦労なことだ。
カイトは、その景色を見ないようにした。
声も聞かないようにして、早く車が行き過ぎるのを待った。
でなければ、暴れ出してしまいそうな自分がいたのだ。
浮かれ騒いでいる連中に向かって、マシンガンを乱射したくなるのだ。
自分を憎んでいる気持ちと、その気持ちをイヤだと思う自分がいる。
誰だって、自分を憎みたくはない。
普通の人間であれば、自分というものは、自分の中では頂点であるはずだ。
少なくとも、みな、自分のために生きている。
そんな至高の存在を、カイトは一番最下層まで叩きつけて踏みしだいて。
目が覚めても、もう今日が何日なのか分からない。
ただ、久しぶりに自宅で迎える朝だった。
身体がいやにだるくて、なかなか起き上がれない。
ほこりっぽいベッドの匂い。
部屋も、ビールの缶のせいかイヤな匂いだ。
閉め切ったままのカーテンで薄暗く―― 冬でなければ、カビでもはえてしまいそうだった。
そういえば、昨夜。
会社でキーボードを入力していたカイトを、シュウが車に乗せて強制送還したのだ。
呪文のような言葉ばかりが書いてある、栄養固形食品を、机の上に山積みにしていった。
あのシュウがここまでするとは。
おそらく、いまの自分は相当に酷いのだろう。
ああ。
昨日。
シュウの車の窓から見た景色は、赤だの緑だの。
きっと昨日が、クリスマス・イブとかいう日だったのだろう。
『メリー・クリスマス!』
信号で止まった時。
車の窓を閉ざしているにも関わらず、そんな声が聞こえてきたのだ。
金色の紙でできた、とんがり帽子をかぶっているサラリーマンだった。
顔は真っ赤で、すっかり酔っぱらっている。
駅前は、そんな連中で溢れ返っていた。
ケーキを売る女の声も、遠くに聞こえる。
遅くまでご苦労なことだ。
カイトは、その景色を見ないようにした。
声も聞かないようにして、早く車が行き過ぎるのを待った。
でなければ、暴れ出してしまいそうな自分がいたのだ。
浮かれ騒いでいる連中に向かって、マシンガンを乱射したくなるのだ。
自分を憎んでいる気持ちと、その気持ちをイヤだと思う自分がいる。
誰だって、自分を憎みたくはない。
普通の人間であれば、自分というものは、自分の中では頂点であるはずだ。
少なくとも、みな、自分のために生きている。
そんな至高の存在を、カイトは一番最下層まで叩きつけて踏みしだいて。