冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
ということは、今日のうちにスタッフの誰かがしでかしたのである。
いや、違う。
もう分かった。
誰か、ではない―― ほとんどの連中だ。
だからあんなに、外野がうるさかったのである。
カイトは後方の反応を無視して、セーブデータをロードした。
そのまま、準備していたコマンドでラスト面まで進める。
悲鳴のような合成音とともに、ゲームは始まった。
オペラだ。
肉声ではない。
けれども女の声に聞こえた。
駒を進め出すと、また分かったことがあった。
戦闘画面で、キャラクターにはっきりと顔が現れたのだ。
いままで、存在を示す駒の画像しかなかったというのに。
しかも。
傷もリアルに。
何パターンも書いたのだろうか。
このキャラクターの傷ナシ、傷アリ、腕あり、腕ナシ―― 様々なパターン画像を。
プレイヤーキャラクターは、両腕こそあったが、顔や身体に大きな傷がいくつも刻まれている。
殺す。
化け物が崩れ落ちる効果音も。
人間が負け、食われるビジュアルも。
まるで市販のゲームのような仕上がりだった。
いや、違う。
こんなゲームは、どこにも販売されていない。
いや、販売―― できない。
誰もがたしなめるゲームではなかった。
カイトは最終MAPを、猛然と突き進んだ。
たとえ味方が死のうが、化け物を食らおうが、すっかり自分のゲームの中に入り込んでしまった。
映像や音というものが、彼の右脳を突き刺していくのだ。
ということは、今日のうちにスタッフの誰かがしでかしたのである。
いや、違う。
もう分かった。
誰か、ではない―― ほとんどの連中だ。
だからあんなに、外野がうるさかったのである。
カイトは後方の反応を無視して、セーブデータをロードした。
そのまま、準備していたコマンドでラスト面まで進める。
悲鳴のような合成音とともに、ゲームは始まった。
オペラだ。
肉声ではない。
けれども女の声に聞こえた。
駒を進め出すと、また分かったことがあった。
戦闘画面で、キャラクターにはっきりと顔が現れたのだ。
いままで、存在を示す駒の画像しかなかったというのに。
しかも。
傷もリアルに。
何パターンも書いたのだろうか。
このキャラクターの傷ナシ、傷アリ、腕あり、腕ナシ―― 様々なパターン画像を。
プレイヤーキャラクターは、両腕こそあったが、顔や身体に大きな傷がいくつも刻まれている。
殺す。
化け物が崩れ落ちる効果音も。
人間が負け、食われるビジュアルも。
まるで市販のゲームのような仕上がりだった。
いや、違う。
こんなゲームは、どこにも販売されていない。
いや、販売―― できない。
誰もがたしなめるゲームではなかった。
カイトは最終MAPを、猛然と突き進んだ。
たとえ味方が死のうが、化け物を食らおうが、すっかり自分のゲームの中に入り込んでしまった。
映像や音というものが、彼の右脳を突き刺していくのだ。