冬うらら~猫と起爆スイッチ~
◎
病院からの帰り道。
せっかく出かけたし、ソウマも一緒なので、夕食の買い物をして帰ることになった。
メイを連れていったスーパーに寄ったが、やはり彼女の姿はない。
あの家からこんなに近くには、やはりいないようだ。
駅前に出る。
年末で、人が気ぜわしく歩いているので、ソウマが気遣うように横を歩いてくれる。
本当は、取り立てて必要なものなどないのだ。
ただ―― あんなカイトを見てしまうと、どうしても心が急いでしまう。
一刻も早くメイを探し出して解決策を見つけなければ、彼があのまま死んでしまうのではないだろうかと、心配になったのだ。
ソウマの手配で、カイトをお正月明けまで入院させる手続きに成功したので、その間に強制的だが体力は回復するだろう。
しかし、その後も同じことを繰り返すだけならば、入院も意味がなかった。
またかつぎ込まれるか、もしくはもっとひどい事態になりかねない。
カイトは、いつも自信たっぷりで、人の言うことなんか聞かずに、自分の道をドロ靴でドスドス歩いてきた人間だった。
苦笑をすることもあったし、困ったことだってあった。
『何だ、あいつは。失礼なヤツだな!』と、周囲の何人もの人間に言われた。
けれども、彼は自分のやりたいことを見失ったりせずに、獣道でも赤い絨毯の上でも、構わず目標に向かって歩いてきたのだ。
そんな彼が―― 恋をした。
恋をしているカイトは、まるで別人だった。
信じられない光景を、いくつもいくつも見てしまった。
本当に、彼女のことを好きでたまらなくて、その気持ちを変な角度でぶつけてしまったのだ。
数日前、カイトの家から帰ってきたソウマは、服を湿らせたまま話してくれた。
彼らの知らない、おそらく起きたであろう事件を。
きっと。
あの、メイが行方不明になった日のことが原因だろう。
どう考えても、引き金らしきものは、それくらいしか見つからない。
ああ、こんなことに…。
病院からの帰り道。
せっかく出かけたし、ソウマも一緒なので、夕食の買い物をして帰ることになった。
メイを連れていったスーパーに寄ったが、やはり彼女の姿はない。
あの家からこんなに近くには、やはりいないようだ。
駅前に出る。
年末で、人が気ぜわしく歩いているので、ソウマが気遣うように横を歩いてくれる。
本当は、取り立てて必要なものなどないのだ。
ただ―― あんなカイトを見てしまうと、どうしても心が急いでしまう。
一刻も早くメイを探し出して解決策を見つけなければ、彼があのまま死んでしまうのではないだろうかと、心配になったのだ。
ソウマの手配で、カイトをお正月明けまで入院させる手続きに成功したので、その間に強制的だが体力は回復するだろう。
しかし、その後も同じことを繰り返すだけならば、入院も意味がなかった。
またかつぎ込まれるか、もしくはもっとひどい事態になりかねない。
カイトは、いつも自信たっぷりで、人の言うことなんか聞かずに、自分の道をドロ靴でドスドス歩いてきた人間だった。
苦笑をすることもあったし、困ったことだってあった。
『何だ、あいつは。失礼なヤツだな!』と、周囲の何人もの人間に言われた。
けれども、彼は自分のやりたいことを見失ったりせずに、獣道でも赤い絨毯の上でも、構わず目標に向かって歩いてきたのだ。
そんな彼が―― 恋をした。
恋をしているカイトは、まるで別人だった。
信じられない光景を、いくつもいくつも見てしまった。
本当に、彼女のことを好きでたまらなくて、その気持ちを変な角度でぶつけてしまったのだ。
数日前、カイトの家から帰ってきたソウマは、服を湿らせたまま話してくれた。
彼らの知らない、おそらく起きたであろう事件を。
きっと。
あの、メイが行方不明になった日のことが原因だろう。
どう考えても、引き金らしきものは、それくらいしか見つからない。
ああ、こんなことに…。