冬うらら~猫と起爆スイッチ~
◎
「ありがとうございました」
ハルコが。
こんなことになるなんてと、何度となく今までに思ったことを復唱しようとした時。
その声が、雑踏の中で聞こえてきた。
自動ドアのせいである。
どこかでそのドア開いた瞬間に、はっきりと聞こえたのだ。
えっ?
ハルコは、足を止めることが出来ないまま、首だけを声の方へ動かした。
「ハルコ!」
ソウマの声に、ハッと我に返った。
よそ見をしていた彼女は、反対方向からきた人とぶつかりそうになったのである。
慌てた動きが、自分の身体をかばった。
「あ、ごめんなさい…」
言いながらも、目はさっきの声を探した。
どの店も、自動ドアだ。
どれも閉じている。
いや、一つ開いた。
次のも。
ハルコは、ドアが開く度に目を動かした。
「ハルコ?」
怪訝そうなソウマの声。
「待って…いま…いま、どこかで聞こえたの」
人の多い歩道の真ん中で立ち止まるのは、いいことではない。
店の方に近づきながら、ハルコは一つ一つ中を覗く。
聞き間違いでなければ。
あの声は。
ハルコの足が―― センサーを踏む。
ぱっと。
目の前で、ガラスの岩戸が開いた。
「いらっしゃいませ!」
向こうを向いていた店員が、慌てたように振り返る。
ああ…。
「ありがとうございました」
ハルコが。
こんなことになるなんてと、何度となく今までに思ったことを復唱しようとした時。
その声が、雑踏の中で聞こえてきた。
自動ドアのせいである。
どこかでそのドア開いた瞬間に、はっきりと聞こえたのだ。
えっ?
ハルコは、足を止めることが出来ないまま、首だけを声の方へ動かした。
「ハルコ!」
ソウマの声に、ハッと我に返った。
よそ見をしていた彼女は、反対方向からきた人とぶつかりそうになったのである。
慌てた動きが、自分の身体をかばった。
「あ、ごめんなさい…」
言いながらも、目はさっきの声を探した。
どの店も、自動ドアだ。
どれも閉じている。
いや、一つ開いた。
次のも。
ハルコは、ドアが開く度に目を動かした。
「ハルコ?」
怪訝そうなソウマの声。
「待って…いま…いま、どこかで聞こえたの」
人の多い歩道の真ん中で立ち止まるのは、いいことではない。
店の方に近づきながら、ハルコは一つ一つ中を覗く。
聞き間違いでなければ。
あの声は。
ハルコの足が―― センサーを踏む。
ぱっと。
目の前で、ガラスの岩戸が開いた。
「いらっしゃいませ!」
向こうを向いていた店員が、慌てたように振り返る。
ああ…。