冬うらら~猫と起爆スイッチ~
☆
それに、本人にしてみればありがた迷惑だろうが、ソウマとハルコだって、心配をしたのだ。
ソウマは殴れば気が済むが、ハルコはそういうワケにはいかない。というよりも、それ以前に彼女は妊婦で。
おかげで余計にソウマに心配をさせたのだ。
人混みの中に、メイを探しに行きたがったりするし。
しかし。
それもどうやらこれで終わりだ。
こんなくだらない誤解はすぐに解いて。
「ねぇ、メイ…」
切り出したのは、ハルコの方だった。
「いまでも…カイトくんのことが…好き?」
その問いに、彼女はコクンと頷く。
「カイトくんね、あなたが出て行ってから…すごくつらそうだったわ。あなたを失ったのが、本当に苦しくてしょうがないみたいに」
ハルコの言い聞かせるようなゆっくりした声には、何か秘密が隠されているように思う。
少なくとも、ソウマにはいつもそう感じられた。
どんな人間でも、ついその内容を聞かずにいられないのだ。
あのカイトですら、いまのような状態でさえなければ、彼女の話くらいはちゃんと聞くのである。
内容を受け入れるかどうかは別として。
一緒に月蝕を見てからずっと、何度もこういう光景を見てきたような気がする。
ハルコの声に聞き入る人の姿を。
彼女の話は、メイに首を傾げさせているようだった。
何故、カイトが苦しんだのか、意味が分かっていないのだ。
それは。
カイトが、メイのことを好きだから。
答えはその一つしかないのだが、余りに足元にありすぎて彼女には見えていないのである。
違う方ばかり、キョロキョロとしている。
しかし、話の中でそのことについては、ハルコは一言も触れなかった。
それに、本人にしてみればありがた迷惑だろうが、ソウマとハルコだって、心配をしたのだ。
ソウマは殴れば気が済むが、ハルコはそういうワケにはいかない。というよりも、それ以前に彼女は妊婦で。
おかげで余計にソウマに心配をさせたのだ。
人混みの中に、メイを探しに行きたがったりするし。
しかし。
それもどうやらこれで終わりだ。
こんなくだらない誤解はすぐに解いて。
「ねぇ、メイ…」
切り出したのは、ハルコの方だった。
「いまでも…カイトくんのことが…好き?」
その問いに、彼女はコクンと頷く。
「カイトくんね、あなたが出て行ってから…すごくつらそうだったわ。あなたを失ったのが、本当に苦しくてしょうがないみたいに」
ハルコの言い聞かせるようなゆっくりした声には、何か秘密が隠されているように思う。
少なくとも、ソウマにはいつもそう感じられた。
どんな人間でも、ついその内容を聞かずにいられないのだ。
あのカイトですら、いまのような状態でさえなければ、彼女の話くらいはちゃんと聞くのである。
内容を受け入れるかどうかは別として。
一緒に月蝕を見てからずっと、何度もこういう光景を見てきたような気がする。
ハルコの声に聞き入る人の姿を。
彼女の話は、メイに首を傾げさせているようだった。
何故、カイトが苦しんだのか、意味が分かっていないのだ。
それは。
カイトが、メイのことを好きだから。
答えはその一つしかないのだが、余りに足元にありすぎて彼女には見えていないのである。
違う方ばかり、キョロキョロとしている。
しかし、話の中でそのことについては、ハルコは一言も触れなかった。