冬うらら~猫と起爆スイッチ~
1月
01/04 Tue.
□167
病院を出た。
まだ、少しグラグラする。
カイトは、太陽の光に突き刺されながら顔を顰めた。
冬の日差しのくせに、眩しすぎるのだ。
グラグラするのは、別に貧血や栄養失調の名残ではない。
ずっと横になっている生活が当たり前だったせいで、身体が垂直に慣れていないのだろう。
病院での生活は、ある意味楽だった。
本当に何もしなくていいのだ。
ただ寝ていればいい。
何か持ってこられたら、飲むか食うかして、また寝る。
眠る―― のが、一番よかった。
横になっているだけの時間は長すぎるので、放っておくといろんなことを考えてしまう。
だから、ただ眠った。
入院前は、ひたすらにゲームを作っていたが。
その勢いで、今度は眠りの縁にいつもたたずんでいたのだ。
つらい夢は見なかった。
つらい夢を見たならば、眠りからも逃げ出さなければならなかっただろうが、それがなかったのでぐっすり眠ることが出来た。
しかし、ついに眠りの縁から、現実社会に戻ってくることになる。
これからは、また起きている時間と寝ている時間の、二つに生活を分けなければならないのだ。
普通の人であれば、起きている時間の比率が長い。
まず、やろうと思っていたことがあった。
会社に行くことだ。
そして、あの忌まわしいゲームのデータを全て削除してくることである。
もう、見たくもなかった。
あれが存在していれば、いつか自分があのゲームをしてしまいそうな気がしたのだ。
だから、全て削除すると入院中に心に決めていたのである。
退院したその足で、カイトはタクシーを拾おうと思った。
その時に。
「おお、元気になったじゃないか」
お迎えが―― 来た。
ソウマ・タクシーだ。
病院を出た。
まだ、少しグラグラする。
カイトは、太陽の光に突き刺されながら顔を顰めた。
冬の日差しのくせに、眩しすぎるのだ。
グラグラするのは、別に貧血や栄養失調の名残ではない。
ずっと横になっている生活が当たり前だったせいで、身体が垂直に慣れていないのだろう。
病院での生活は、ある意味楽だった。
本当に何もしなくていいのだ。
ただ寝ていればいい。
何か持ってこられたら、飲むか食うかして、また寝る。
眠る―― のが、一番よかった。
横になっているだけの時間は長すぎるので、放っておくといろんなことを考えてしまう。
だから、ただ眠った。
入院前は、ひたすらにゲームを作っていたが。
その勢いで、今度は眠りの縁にいつもたたずんでいたのだ。
つらい夢は見なかった。
つらい夢を見たならば、眠りからも逃げ出さなければならなかっただろうが、それがなかったのでぐっすり眠ることが出来た。
しかし、ついに眠りの縁から、現実社会に戻ってくることになる。
これからは、また起きている時間と寝ている時間の、二つに生活を分けなければならないのだ。
普通の人であれば、起きている時間の比率が長い。
まず、やろうと思っていたことがあった。
会社に行くことだ。
そして、あの忌まわしいゲームのデータを全て削除してくることである。
もう、見たくもなかった。
あれが存在していれば、いつか自分があのゲームをしてしまいそうな気がしたのだ。
だから、全て削除すると入院中に心に決めていたのである。
退院したその足で、カイトはタクシーを拾おうと思った。
その時に。
「おお、元気になったじゃないか」
お迎えが―― 来た。
ソウマ・タクシーだ。