冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
カイトは、いつものコンピュータの前に座ると電源を入れた。
今日の仕事は決まっているのだ。
削除。
全部だ。
カイトは、作成用のディレクトリーごと、本当に丸ごと、一秒のためらいもなく削除した。
消えた。
電子データの良いところは、削除すると本当にこの世のどこにも存在しなくなることである。
どんなに泣こうがわめこうが、絶対に戻って来ない。
これが紙のデータであれば、焼かない限りは、どこかに存在している可能性がある。
たとえ破ったとしても。シュレッダーだって、信用ならないような気がするのだ。
ふぅっとため息をついた。
もう、あのゲームは存在しない。
彼が、エンディングを見ることは、一生ないのだ。
しかし、カイトはそのまま家に帰らなかった。
ハルコやソウマが来ているのでは、という不安もあったし、久しぶりにプログラムを組む、ということもやりたかった。
あのゲームを作る前に、やりかけていた仕事を呼び出した。
冷静だけれども、煩雑としたプログラムの羅列が現れた。
そしてカイトは―― 異世界の言葉の中に埋もれていった。
カイトは、いつものコンピュータの前に座ると電源を入れた。
今日の仕事は決まっているのだ。
削除。
全部だ。
カイトは、作成用のディレクトリーごと、本当に丸ごと、一秒のためらいもなく削除した。
消えた。
電子データの良いところは、削除すると本当にこの世のどこにも存在しなくなることである。
どんなに泣こうがわめこうが、絶対に戻って来ない。
これが紙のデータであれば、焼かない限りは、どこかに存在している可能性がある。
たとえ破ったとしても。シュレッダーだって、信用ならないような気がするのだ。
ふぅっとため息をついた。
もう、あのゲームは存在しない。
彼が、エンディングを見ることは、一生ないのだ。
しかし、カイトはそのまま家に帰らなかった。
ハルコやソウマが来ているのでは、という不安もあったし、久しぶりにプログラムを組む、ということもやりたかった。
あのゲームを作る前に、やりかけていた仕事を呼び出した。
冷静だけれども、煩雑としたプログラムの羅列が現れた。
そしてカイトは―― 異世界の言葉の中に埋もれていった。