冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●
この人は。
カイトの部屋のバスルームに、無許可で入れる人なのだ、と。
バスルームの中のものを、全部知っている人なのだと思ったら、ぶわっと熱い塊が、胸の内側からわき上がってきた。
何で。
「いただけません…そんな」
鼻がツンと痛むような感触に襲われる。
慌ててうつむいた。
何で。
苦しかった。
自分が、脱衣所の後かたづけをしようとして叱られたことが、ばっとフラッシュバックした。
ハルコがきっと片付けているのだ。
カイトのものを全て。
だから、叱られたのだ、と。
全部彼女がやっているものに、メイは勝手に手を出してしまったのだ。
全身がピリピリした。
泣きそうになる時、いつもそういう感触になる。
ぐっとこらえる。
泣く理由が見つからなかったからだ。
カイトは若いけれども、もう1人の態度やこの家を見れば、いい仕事をして高給を取っているのが分かる。
そんな彼に、ふさわしい人がいてもおかしくないかった。
最初から分かっていることではないか。
場違いという痛みが、一気に千の針になる。
この人は。
カイトの部屋のバスルームに、無許可で入れる人なのだ、と。
バスルームの中のものを、全部知っている人なのだと思ったら、ぶわっと熱い塊が、胸の内側からわき上がってきた。
何で。
「いただけません…そんな」
鼻がツンと痛むような感触に襲われる。
慌ててうつむいた。
何で。
苦しかった。
自分が、脱衣所の後かたづけをしようとして叱られたことが、ばっとフラッシュバックした。
ハルコがきっと片付けているのだ。
カイトのものを全て。
だから、叱られたのだ、と。
全部彼女がやっているものに、メイは勝手に手を出してしまったのだ。
全身がピリピリした。
泣きそうになる時、いつもそういう感触になる。
ぐっとこらえる。
泣く理由が見つからなかったからだ。
カイトは若いけれども、もう1人の態度やこの家を見れば、いい仕事をして高給を取っているのが分かる。
そんな彼に、ふさわしい人がいてもおかしくないかった。
最初から分かっていることではないか。
場違いという痛みが、一気に千の針になる。