冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「あ、あの…それで…」
報告はもう終わったのに、ドアを閉ざして出ていかなかった。
まだそこにとどまって、カイトに何かを伝えようとする。
慌てた声で、言葉を探しているようだ。
「あの…これから何か予定ありますか?」
そんなことを言われた。
「もし、なければ…その、一緒にご飯食べに行きませんか?」
そんなことも言った。
「えっと、その…用意が出来たら降りてきてください。玄関のところにいますから! 待ってます!」
言い終わると。
メイは、ぴゅーんとドアの向こうに消えてしまった。
廊下を走る音と、階段を駆け下りる音が聞こえる。
カイトは―― 置いてけぼりだった。
しかも、いま伝えられた3つの文章の意味を掴みあぐねている。
何だ、と?
カイトは眉間にシワを寄せた。
これから、何だと言ったのか、彼女は。
彼に何をしろと。
玄関のところで。
メイが自分を待っている、と。
他のたくさんの意味は分からないが、彼女は確かにそう言った。
彼を、待っていると。
呆然としたまま、カイトはベッドから降りた。椅子にかけたままだったコートを掴む。
信じられなかった。
多分、夢だと思った。
きっと、この部屋を出て廊下を歩き、階段を降りたら、やっぱり玄関は暗いままなのだ。
誰もいなくて、カイトは胸をちぎられるのだ。
そうに違いなかった。
階段を降りていく。
踊り場を曲がる。
彼女は―― コートに袖を通そうとしていた。
「あ、あの…それで…」
報告はもう終わったのに、ドアを閉ざして出ていかなかった。
まだそこにとどまって、カイトに何かを伝えようとする。
慌てた声で、言葉を探しているようだ。
「あの…これから何か予定ありますか?」
そんなことを言われた。
「もし、なければ…その、一緒にご飯食べに行きませんか?」
そんなことも言った。
「えっと、その…用意が出来たら降りてきてください。玄関のところにいますから! 待ってます!」
言い終わると。
メイは、ぴゅーんとドアの向こうに消えてしまった。
廊下を走る音と、階段を駆け下りる音が聞こえる。
カイトは―― 置いてけぼりだった。
しかも、いま伝えられた3つの文章の意味を掴みあぐねている。
何だ、と?
カイトは眉間にシワを寄せた。
これから、何だと言ったのか、彼女は。
彼に何をしろと。
玄関のところで。
メイが自分を待っている、と。
他のたくさんの意味は分からないが、彼女は確かにそう言った。
彼を、待っていると。
呆然としたまま、カイトはベッドから降りた。椅子にかけたままだったコートを掴む。
信じられなかった。
多分、夢だと思った。
きっと、この部屋を出て廊下を歩き、階段を降りたら、やっぱり玄関は暗いままなのだ。
誰もいなくて、カイトは胸をちぎられるのだ。
そうに違いなかった。
階段を降りていく。
踊り場を曲がる。
彼女は―― コートに袖を通そうとしていた。