冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
少し先の外灯に、すべり台が照らされている。
しん、とした誰もいない公園。
そんなに雪が好きなら、降らせてやりたかった。
だが、そういう力は彼にはない。
カイトの使える魔法は、もっと下界のことに限定されているのだ。
しかし、彼女はそんなものを望まない。
欲しいのは雪なのだ。
彼は、同じように曲がりながら空を見上げた。
ぽつぽつと、一等星だけが輝く空。
地上が明るいせいだ。
けれども、星が見えるということは、晴れているということだった。
空の悪戯もありえない。
ふっと。
カイトは、視線を空から戻す。
瞬間、ドキッとした。
視界にメイがいなかったのだ。
もしかして、さっきまでのは夢で、彼女は消えてしまったかと思った。
心臓が冷たく縮む。
「雪は…」
しかし。
声はすぐ左側から聞こえた。
はっと見ると、いつの間にか横を歩いていたのだ。
「雪は…これじゃあ降りませんね」
彼女が、多分空を見上げたのが分かる。
ああ。
魔法がお金で買えるというのなら、絶対にこの時のカイトはそうしただろう。
いくらかかってもいいから、彼女のために雪を降らせてやりたかった。
それから、彼女は黙ってしまった。
ゆっくりと、ただ歩くだけ。
横に並んで。
少し先の外灯に、すべり台が照らされている。
しん、とした誰もいない公園。
そんなに雪が好きなら、降らせてやりたかった。
だが、そういう力は彼にはない。
カイトの使える魔法は、もっと下界のことに限定されているのだ。
しかし、彼女はそんなものを望まない。
欲しいのは雪なのだ。
彼は、同じように曲がりながら空を見上げた。
ぽつぽつと、一等星だけが輝く空。
地上が明るいせいだ。
けれども、星が見えるということは、晴れているということだった。
空の悪戯もありえない。
ふっと。
カイトは、視線を空から戻す。
瞬間、ドキッとした。
視界にメイがいなかったのだ。
もしかして、さっきまでのは夢で、彼女は消えてしまったかと思った。
心臓が冷たく縮む。
「雪は…」
しかし。
声はすぐ左側から聞こえた。
はっと見ると、いつの間にか横を歩いていたのだ。
「雪は…これじゃあ降りませんね」
彼女が、多分空を見上げたのが分かる。
ああ。
魔法がお金で買えるというのなら、絶対にこの時のカイトはそうしただろう。
いくらかかってもいいから、彼女のために雪を降らせてやりたかった。
それから、彼女は黙ってしまった。
ゆっくりと、ただ歩くだけ。
横に並んで。