冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
すべり台が近づいてくる。
誰かが捨てたパンのビニール袋が、目の前でもんどりうつように飛ばされて行った。
カイトはそれを見ていた。
何か一瞬―― 指に当たった。
…?
カイトは、それが何なのか分からない。
しかし、もうその感触はなかったので、気にするのをやめて歩いた。
少しして。
また、何か指に当たった。
もう一回。
もう一度。
また。
指に、何か当たる。
次の瞬間、カイトは目を見開いた。
彼の左の指に、何かひっかかったのである。
歩くときに無意識に動いていた腕が、それに抑制される。
何、だ?
最初は、ちょっとした抵抗感だった。
そして冷たかった。
なのに、一歩歩くごとに―― 探るように、まるで確かめるように手の中に近付いてくるのだ。
きゅっ。
手に、何かの力がしっかりとかかった。
カイトは。
信じられなかった。
彼の神経が狂っていなければ、いま、誰かに左手を握られているのだ。
誰か。
確認する必要もないハズだった。
しかし、それが一番信じられない相手なのである。
何故、彼女が自分の手を握る必要があるのか。
だが、ふりほどけるハズもなく。手を握られたまま歩く。
冷たい、手。
そうだ。
彼女も自分も、手袋さえしていないのだから。
触れあっている部分が、ほんの少しだけ温度を取り戻しつつあった。
メイの―― 体温。
すべり台が近づいてくる。
誰かが捨てたパンのビニール袋が、目の前でもんどりうつように飛ばされて行った。
カイトはそれを見ていた。
何か一瞬―― 指に当たった。
…?
カイトは、それが何なのか分からない。
しかし、もうその感触はなかったので、気にするのをやめて歩いた。
少しして。
また、何か指に当たった。
もう一回。
もう一度。
また。
指に、何か当たる。
次の瞬間、カイトは目を見開いた。
彼の左の指に、何かひっかかったのである。
歩くときに無意識に動いていた腕が、それに抑制される。
何、だ?
最初は、ちょっとした抵抗感だった。
そして冷たかった。
なのに、一歩歩くごとに―― 探るように、まるで確かめるように手の中に近付いてくるのだ。
きゅっ。
手に、何かの力がしっかりとかかった。
カイトは。
信じられなかった。
彼の神経が狂っていなければ、いま、誰かに左手を握られているのだ。
誰か。
確認する必要もないハズだった。
しかし、それが一番信じられない相手なのである。
何故、彼女が自分の手を握る必要があるのか。
だが、ふりほどけるハズもなく。手を握られたまま歩く。
冷たい、手。
そうだ。
彼女も自分も、手袋さえしていないのだから。
触れあっている部分が、ほんの少しだけ温度を取り戻しつつあった。
メイの―― 体温。