冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「今日は…」
間違いなかった。
左側。
まるで寄り添うほどすぐ側から、彼女の声が聞こえてきた。
静かな声。
「今日は…今日のこれは、実は…デートだったんですよ」
何を。
何を言っているのか。
しかし、彼女の方を振り向けない。
「ずっと…こうやって、一緒に歩いてみたかったんです。一緒にご飯を食べて…えっと、お金もホントは割り勘にして…普通みたいにデートしてみたかったんです」
やっと夢がかないました。
メイの歩く速度が、少し落ちた。
思い出すように、時々言葉を止めて、またしゃべる。
手はまだ握られている。
カイトは、呆然と歩くまま。
まだ、何の意味も掴めていなかった。
「ずっと…」
きゅっと、握られている手に少し力がこもった。
「ずっと、こうしたかったんです…ずっと、ずっと…ずっと」
きゅうっ。
一つ「ずっと」を言う度に、どんどん力がこもってくる。
彼女の手が、すごく熱くなってきたような気がした。
「ずっと、ずっと…ずっと、好きで」
ぎゅう。
声が―― 掠れた。
にじむような音に変わっていく。
手はもう、痛いくらいに強く、熱く。
カイトは、ついに足を止めてしまった。
「今日は…」
間違いなかった。
左側。
まるで寄り添うほどすぐ側から、彼女の声が聞こえてきた。
静かな声。
「今日は…今日のこれは、実は…デートだったんですよ」
何を。
何を言っているのか。
しかし、彼女の方を振り向けない。
「ずっと…こうやって、一緒に歩いてみたかったんです。一緒にご飯を食べて…えっと、お金もホントは割り勘にして…普通みたいにデートしてみたかったんです」
やっと夢がかないました。
メイの歩く速度が、少し落ちた。
思い出すように、時々言葉を止めて、またしゃべる。
手はまだ握られている。
カイトは、呆然と歩くまま。
まだ、何の意味も掴めていなかった。
「ずっと…」
きゅっと、握られている手に少し力がこもった。
「ずっと、こうしたかったんです…ずっと、ずっと…ずっと」
きゅうっ。
一つ「ずっと」を言う度に、どんどん力がこもってくる。
彼女の手が、すごく熱くなってきたような気がした。
「ずっと、ずっと…ずっと、好きで」
ぎゅう。
声が―― 掠れた。
にじむような音に変わっていく。
手はもう、痛いくらいに強く、熱く。
カイトは、ついに足を止めてしまった。