冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 公園のちょうど真ん中で。

 カイトは、目を見開くしか出来なかった。

 いま、彼女は何と言ったのか。

「あなたのことが、ずっと、ずっと好きで…好きで…きで…で…」

 声が、とぎれる。

 ひっく、と一度しゃくりあげる音が、言葉をかき消したのだ。

 手を握られる強さが、彼を現実に引き止める。

 熱い、痛い。痛い。痛い、痛い。

 痛い―― 痛かった。

 それは、手なんかじゃない。

 違う。違った。でも、痛かった。

 ぼたっ、と。

 足元に何か落ちた。

 何か分からなかった。

 いや。

 信じられなかった。

 いま、自分の顔からそれが落ちたのだ。

 彼女の使う言葉の意味など分かっていないのに、頭はちっとも理解していないというのに、身体だけが反応するのだ。

 いきなり全身を、今までとは違う血が巡り始める。

 すごい勢いで―― でも、温度のある血液だ。

 それが、彼の身体の中を駆けめぐっていく。

 まぶたが、熱かった。

 鼻先がつんとした。

 でも、顔を拭けなかった。

 ただ。


 メイの手を、強く握り返すしかできなかった。
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