冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●174
指が、触れた。
一番最初は、偶然だった。
あんまり近くを歩き過ぎたため、お互いの動かしている手の先が、軽くぶつかってしまったのだ。
あっ。
でも、メイにとっては、偶然では終わらなかった。
本当は、まだ迷っていたのだ。
もう、このままでいいのかもしれない―― と。
けれども、指が触れ合った瞬間。
ドクンと胸が騒いだ。
もう少しの勇気があれば、彼女はカイトに触れられるような気がした。
あと半歩だけ、彼の方に近づけばいいのだ。
そうすれば、きっとこの手を。
近づくまでだったら出来た。
予想通り、歩くはずみで指が何度も当たった。
いいのかどうか分からなかった。
でも。
指先で、一番最初に軽く引っかけた。
それはすぐ、歩く動きで解けてしまう。
もう一度引っかけた。
今度は二本の指で。
心臓が、すごい速さになってくる。
振り払われたら、どうしよう。
怖さと不安が、彼女の首ねっこを押さえる。
しかし、引っかかった指が、払われることはなかった。
メイは、そっと彼と手を重ねる。
軽く握った。
心臓が止まりそうだった。
カイトは無言だ。
手は振り払われないけど、ずっと無言だった。
何の反応もない。
大体、連れ出してからのカイトは、最初からそうだった。
こんな行動を取る自分を、どう思っているのか、彼女には分からない。
指が、触れた。
一番最初は、偶然だった。
あんまり近くを歩き過ぎたため、お互いの動かしている手の先が、軽くぶつかってしまったのだ。
あっ。
でも、メイにとっては、偶然では終わらなかった。
本当は、まだ迷っていたのだ。
もう、このままでいいのかもしれない―― と。
けれども、指が触れ合った瞬間。
ドクンと胸が騒いだ。
もう少しの勇気があれば、彼女はカイトに触れられるような気がした。
あと半歩だけ、彼の方に近づけばいいのだ。
そうすれば、きっとこの手を。
近づくまでだったら出来た。
予想通り、歩くはずみで指が何度も当たった。
いいのかどうか分からなかった。
でも。
指先で、一番最初に軽く引っかけた。
それはすぐ、歩く動きで解けてしまう。
もう一度引っかけた。
今度は二本の指で。
心臓が、すごい速さになってくる。
振り払われたら、どうしよう。
怖さと不安が、彼女の首ねっこを押さえる。
しかし、引っかかった指が、払われることはなかった。
メイは、そっと彼と手を重ねる。
軽く握った。
心臓が止まりそうだった。
カイトは無言だ。
手は振り払われないけど、ずっと無言だった。
何の反応もない。
大体、連れ出してからのカイトは、最初からそうだった。
こんな行動を取る自分を、どう思っているのか、彼女には分からない。