冬うらら~猫と起爆スイッチ~
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何?
これは…何?
メイは、分からなかった。
手は、冷たい。
もう、誰も握ってくれない手は、空中を泳いだまま。
なのに、胸がこんなに暖かい。
誰かが、彼女を包んでいるのだ。
熱く、激しく、抱き竦めているのだ。
…トだ。
顔は、見えない。
…イトだ。
カイトが。
彼が、いま自分を強く抱きしめているのだ。
カイトは、彼女を抱きしめる腕に更に力を加えた。
あ…。
あ…あ…。
メイは、自分の両腕がどこにあるのか、一瞬分からなかった。
神経をたどって見つけるやいなや、彼女はカイトの背中にすがりついた。
もっと!
もっと、もっと、もっと!
もっと、側に来て!
もう、意味とか理由とかどうでもよかった。
彼が抱きしめてくれた。
彼を抱きしめられる。
その事実だけあれば、他に何もいらなかった。
「好き…き…」
何度繰り返しても―― 涙でぐちゃぐちゃの声しか出なかった。
何?
これは…何?
メイは、分からなかった。
手は、冷たい。
もう、誰も握ってくれない手は、空中を泳いだまま。
なのに、胸がこんなに暖かい。
誰かが、彼女を包んでいるのだ。
熱く、激しく、抱き竦めているのだ。
…トだ。
顔は、見えない。
…イトだ。
カイトが。
彼が、いま自分を強く抱きしめているのだ。
カイトは、彼女を抱きしめる腕に更に力を加えた。
あ…。
あ…あ…。
メイは、自分の両腕がどこにあるのか、一瞬分からなかった。
神経をたどって見つけるやいなや、彼女はカイトの背中にすがりついた。
もっと!
もっと、もっと、もっと!
もっと、側に来て!
もう、意味とか理由とかどうでもよかった。
彼が抱きしめてくれた。
彼を抱きしめられる。
その事実だけあれば、他に何もいらなかった。
「好き…き…」
何度繰り返しても―― 涙でぐちゃぐちゃの声しか出なかった。