冬うらら~猫と起爆スイッチ~
□
「バカや…ろう」
自分に向かって唸る。
ちゃんと分かっていたら、彼女を泣かせたり傷つけたり、こんな寂しいところに一人置いていたりしなかったというのに。
「お願…い…もっ……もっ…と…」
強く抱きしめて、と懇願するメイ。
愛しい。
ずっとこんなに愛しかったのだ。
離れて生きていけると思ったのか、こんなに愛しい存在と。
腕の中に置いてなお、飢えるような足りなさを感じ、満たしたいという気持ちでいっぱいになる相手と、これから一生離れて暮らせると、本当に思っていたのか。
信じられなかった。
また、ぎゅっと抱く。
お互いのコートの感触を、何度も何度も抱きしめた。
「クソッ…!」
しかし、足りなかった。
カイトはばっと彼女を引き剥がすと、自分のコートを脱ぎ捨てた。
瞬間。
ハッと動きを止めた。
冷たい汗が、背筋を落ちる。
こんなに荒れ狂っている自分を、止める自信がなかった。
しかし、それではまた、彼女に乱暴しかねなかったのだ。
記憶が、彼の足に枷をつける。
ベッドの上で力を抜かれてしまったあの光景が、カイトの神経を冷たく縛ったのだ。
また、メイを。
そう思ったら、カイトはコートを脱ぎ捨てたまま動けなくなった。
それどころか、もう一度彼女を抱きしめる自信がなかった。
コートなしで抱きしめたら、もっと彼女の感触を知りたくなる。
何もかも、むしり取りたくなる。
自分のも―― メイのも。
また、同じコトを繰り返したら。
カイトは。
動けなかった。
「バカや…ろう」
自分に向かって唸る。
ちゃんと分かっていたら、彼女を泣かせたり傷つけたり、こんな寂しいところに一人置いていたりしなかったというのに。
「お願…い…もっ……もっ…と…」
強く抱きしめて、と懇願するメイ。
愛しい。
ずっとこんなに愛しかったのだ。
離れて生きていけると思ったのか、こんなに愛しい存在と。
腕の中に置いてなお、飢えるような足りなさを感じ、満たしたいという気持ちでいっぱいになる相手と、これから一生離れて暮らせると、本当に思っていたのか。
信じられなかった。
また、ぎゅっと抱く。
お互いのコートの感触を、何度も何度も抱きしめた。
「クソッ…!」
しかし、足りなかった。
カイトはばっと彼女を引き剥がすと、自分のコートを脱ぎ捨てた。
瞬間。
ハッと動きを止めた。
冷たい汗が、背筋を落ちる。
こんなに荒れ狂っている自分を、止める自信がなかった。
しかし、それではまた、彼女に乱暴しかねなかったのだ。
記憶が、彼の足に枷をつける。
ベッドの上で力を抜かれてしまったあの光景が、カイトの神経を冷たく縛ったのだ。
また、メイを。
そう思ったら、カイトはコートを脱ぎ捨てたまま動けなくなった。
それどころか、もう一度彼女を抱きしめる自信がなかった。
コートなしで抱きしめたら、もっと彼女の感触を知りたくなる。
何もかも、むしり取りたくなる。
自分のも―― メイのも。
また、同じコトを繰り返したら。
カイトは。
動けなかった。