冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 埋めて。

 早く。

 指先まで、全部カイトでいっぱいにして。

 彼が、ブラウスのボタンを飛ばしたのが分かった。

 でも、絶対に「いや」だとか、抵抗したりはしなかった。

 メイだって、そんな力があるならば、彼のボタンを同じようにしただろう。

 でも、まだカイトの素肌は遠かった。

 もどかしくて、おかしくなってしまいそうだった。

 その気持ちが。

 通じたのだろうか。

 カイトは、「くそっ」と一つ唸ってからばっと離れると、自分のシャツのボタンも、すっ飛ばしたのである。

 あ。

 メイは、じっとその肌を見た。

 恥ずかしいとかそういうレベルの意識は、何もない。

 そこに、彼の素肌があるのだという気持ちでいっぱいになった。

 そっと。

 手を伸ばす。

 左の胸に、触れた。

 ドクンドクンと、物凄い速度で叩いているのが分かる。

 熱い。

 これが、カイト。

 メイは、自分の身体の上に抱き寄せた。

 二人とも、ブラウスやシャツの前を開け放しただけで、脱いでしまっているワケではない。

 しかし、そのまま抱き合うと―― 直接的な体温で触れ合えた。

 ぎゅうっと腕に力がこめられる。

 彼も、もっとメイを感じたいかのように。
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