冬うらら~猫と起爆スイッチ~

 起きたはいいが、次に何をすればいいか分からない。

 とりあえずストーブをつける。

 ベッドの方に向けた。

 彼が起き出してきた時に、寒くなく着替えられるようにと思ったのだ。

 朝食を作ろう。

 そう思い立った。

 朝なのだ。

 健康的な生活をしていれば、おなかがすいて当然である。

 起きた時に、カイトがすぐに食べられるようにと、彼女は台所に立った。

 しかし、その途中で彼が起きてしまった。

 後方で大きく布団の動く音がした。慌てて振り返ると、彼が身体を起こしていた。

 そして、キョロキョロしている。

 そうなのだ。

 彼は、この家で目覚めるのは、これが初めてなのだ。

 きっと混乱しているのだろう。

「あ、おはようございます」

 メイは声をかけた。

 すると、まるでスローモーションのような動きで、彼女の方に顔を向ける。

 まだ、驚いた顔のままだ。

 ドキンと胸が鳴った。

 自分が、朝日で冷静になってしまったように、彼もそうなったんじゃないかと思ったのである。

 ということは、これからカイトが見せる反応が、本当の気持ちのように思えて、少し怖くなった。

 カイトは。

 ばさっ!

 布団を蹴飛ばして、ベッドから飛び出してこようとしたのだ。

 その素肌が、やかんの湯気の向こうにある。
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