冬うらら~猫と起爆スイッチ~
●19
頭が重い。
泣くと、いつもその後にこうなってしまう。
メイは、そっと顔を上げた。
さっきまで隣にいてくれたハルコも、いつの間にかいなくなり、大荷物と一緒にカイトの部屋に置き去りにされていた。
置き去りにされるばかりだ。
捨てられた動物みたいな、悲しい気持ちに襲われる。
一度、暗い方向に傾いた気持ちを元に戻すのは、すごく難しかった。
カチャ。
しかし、ハルコはそう長く、彼女を置いてけぼりにはしなかった。
ドアが開く。
彼女はトレイを持っていた。
温かい匂いがする。
メイは、重いまぶたで、ぼんやりと目で追う。
「おいしいアップルティーがあるのよ…紅茶は好き?」
にっこり。
ハルコが怒っている顔など、想像もつかない。
どんな時も、その笑顔を浮かべているような気がする。
メイは、コクリとうなずく。
もう、たくさんのことを考えられるほど、頭に活力がなかった。
カチャカチャ。
リンゴの匂いが、部屋に渦を巻き始める。
そのすぐ側にいた彼女は、ハルコの手をじっと見つめる。
「はい…」
机の上の荷物を少しよけて、彼女の目の前に置いてくれる。
「ここの二人はコーヒー党だから、紅茶はほとんど飲まないの…しょうがないから、私用に用意しているのよ」
1人でゆっくりしたい時に飲むの。
ハルコは、紅茶を勧めてくれる。
彼女は黙ったまま、それを取った。
頭が重い。
泣くと、いつもその後にこうなってしまう。
メイは、そっと顔を上げた。
さっきまで隣にいてくれたハルコも、いつの間にかいなくなり、大荷物と一緒にカイトの部屋に置き去りにされていた。
置き去りにされるばかりだ。
捨てられた動物みたいな、悲しい気持ちに襲われる。
一度、暗い方向に傾いた気持ちを元に戻すのは、すごく難しかった。
カチャ。
しかし、ハルコはそう長く、彼女を置いてけぼりにはしなかった。
ドアが開く。
彼女はトレイを持っていた。
温かい匂いがする。
メイは、重いまぶたで、ぼんやりと目で追う。
「おいしいアップルティーがあるのよ…紅茶は好き?」
にっこり。
ハルコが怒っている顔など、想像もつかない。
どんな時も、その笑顔を浮かべているような気がする。
メイは、コクリとうなずく。
もう、たくさんのことを考えられるほど、頭に活力がなかった。
カチャカチャ。
リンゴの匂いが、部屋に渦を巻き始める。
そのすぐ側にいた彼女は、ハルコの手をじっと見つめる。
「はい…」
机の上の荷物を少しよけて、彼女の目の前に置いてくれる。
「ここの二人はコーヒー党だから、紅茶はほとんど飲まないの…しょうがないから、私用に用意しているのよ」
1人でゆっくりしたい時に飲むの。
ハルコは、紅茶を勧めてくれる。
彼女は黙ったまま、それを取った。